「わたしたちの暮らす3次元世界は、人間の目に見えない5次元世界に組み込まれている」
リサ・ランドール1999年にが発表した「5次元世界の存在」は面白い。
私のような素人でも面白いと思うだけではなく、物理学の世界でも注目を集めている。
3次元に「時間」と「次元方向への距離」を加えたものが5次元という話は、まったく実感ができない話のため理解できないが、私たちの住む3次元が膜のようなもので、その膜が多次元世界に張り付いてるのだそうだ。
私たちが見ている数字にも似たようなところがある。
決算書の数字は3次元の世界の結果だが、この3次元の世界だけでは計れないことは意外に多い。
この間、ある累積赤字が続いているお客様と話をした。
社長もスタッフの方々も私の顔を見ると、
「いやー、なかなか黒字が出せなくて困ったものです・・」
と言う。
しかし、私は、
「別にこれくらいの規模ならいいんじゃないですかー」
などと無責任に答える。
そして、「赤字で・・」という方々にも、どこか社交辞令の趣がある。
私は話しながら、この会社のCLVについて考えていた。
この会社のCLVは思惑通りには増加していないが、確実に増加中である。
この会社の数字のターゲットは、決算書の数字にはなくCLVの数字にある。
感覚としては、CLVという多次元数字に張り付いているのが決算書の数字という膜である。
銀行や税理士などは、決算書の数字ばかりで会社を判断する。
税務署も同様だ。
しかし、「そうじゃないのよ!」と銀行などに反論したくなるときはあるはずだ。
そうした場合、私たちは決算書よりも未来の決算書の数字を作る「数字」に注目しているはずだ。ただし、その「数字」の資料がなくて歯がゆいという場面も多くの人が経験しているだろう。
そして、当然だが、そうした数字の方が大事である。
ところが、そうした数字の管理について本などで語られることはほとんどない。
経理を中心とした数字周りだけが権威なっている現実がある。
実は、結果でしかない3次元の数字は、未来を作る数字ほど重要ではない。
税務署や株主には重要な数字だし、経営者も経営成績の測定という意味で大きな意味はあるが、それより重要な数字はある。
そして、経営者はその数字を作るために日夜がんばっているはずだ。
それなのに、どうして測定をしていないのか?
中小企業ではよくある話である。
お客様とは、決算書の数字についての会話はカンタンなところにして、私はCLVを増やす方策の確認に入った。
こっちの方が重要なのだ・・。