有料配信の音声で詳細をお伝えしましたが、コロナ禍以降は補助金が充実しており、補助金を機会に改善に取り組む企業が増えています。
皆さまご存じのとおり、最大の目玉は事業再構築補助金でした。
公表当初は期待値が最高潮に高まるも、詳細が明らかになると断念する企業が続出…。確かに第1回公募は厳しかったものの、その後は徐々に要件緩和が行われ、既に終了した第5回公募までの状況を確認すると、結果としては非常に申請しやすいものとなりました。
一番厳しいと言われていた売上減少要件についても、要件緩和により充たすことになった企業が多いように思われます(そもそも増収記録更新中の企業の方がまれでしょう)。
一番応募が多かった通常枠の採択率は30%台で推移。採択事業者数は35,000社を超えました。補助金の規模を考えると悪くはありません。当社がお手伝いした案件も、お客様が断念されたもの以外は全て採択されました。3月下旬からは第6回公募が始まっており、第8回まで予定されています。
もちろん、補助金を受給するためだけの事業に意味はありません。当社も相談を受けた案件を何度か却下させていただきました。持続性がある事業以外は重荷になるからです。
結局、採択された企業は良くも悪くも企画力があり、一緒に取り組んだ認定支援機関が良かったというだけ。事業遂行能力があるかどうかは別問題なので、採択されてからが勝負です。ぜひとも補助金を有意義に使って持続可能な事業に育てください。
また、今年は何といってもIT導入補助金です。
IT導入補助金といえば「ホームページ制作」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、現在はECサイトなどのシステム系以外は認められなくなりました。
そして、IT導入補助金2022で注目されるのは『会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの経費の一部を補助することで、インボイス対応も見据えた企業間取引のデジタル化を推進することを目的』としているデジタル化基盤導入類型です。
以下、補助金の額と補助率をご覧ください。中小企業のバックオフィス関連としては十分過ぎます。採択率は概ね50%超ですが、バックオフィス関連でよほど下手な申請をしない限り、実質的な採択率はもっと高くなっています。
なお、インボイス制度の開始は2023年10月からですが、制度の全容と恐ろしさを理解している中小企業はごく少数のはず。デジタル庁が電子インボイスの標準化に取り組んでおり、国がこれだけの補助金を準備しているということは、制度対応にそれだけのコストが想定されていることの裏付けです。
DX、テレワーク、そしてインボイス制度…。もちろんデジタルがすべてではありません。しかし、インボイス制度に関してはデジタルが主流になると想定されており、自社が拒否しても外部環境がそれを許さないという可能性があります。
補助金巧者というのもどうかと思いますが、獲得できるものは獲得するという姿勢も重要でしょう。そして、近年の補助金は認定支援機関などの外部アドバイザーと連携することが必須であるため、この点も見逃せません。
つまり、外部アドバイザーが話を持ってこない限り、あるいは外部アドバイザーが身近にいない限り、補助金申請ができないということになります。
事業再構築補助金、IT導入補助金ともに、相談できる先がないと当社にご連絡をいただくことがありますが、当社にかかわらず補助金目的のみでお付き合いされるのはお勧めできません。結局、継続的なお付き合いで改善していかない限り、持続性が担保されないからです。
他にも、ものづくり補助金や持続化補助金などがあります。補助金受給は一部の企業に偏っているのも事実ですので、取り組まれた経験がない皆さまにおかれましてもご検討されてみてください。
目的は補助金ではなく、補助金を機会とした改善となります。