やらないリスク

先月末、(株)インフォディオが源泉徴収票の情報を認識処理する機器の開発を国税庁から受託したとのプレスリリースがされました。

これは、源泉徴収票をスマホで撮影・アップロードすることで、源泉徴収票に記載された金額等の数値をOCR機能で読み取り、確定申告書の作成を自動化する仕組みを同社の独自開発製品である「スマートOCR」を使って実現するもので、2022年1月に始まる確定申告から運用開始予定とのことです。

正直、特に驚きはありませんが、事務作業的な税理士の仕事が無くなっていく速度が増していることが改めて実感されます。

こうなっていくであろうことは、10年前には分かっていたことで、特にここ5~6年でその勢いが増した感があります。

このことを見越して早くから動いてきた税理士は、事務作業に時間が取られなくなることを喜び、漫然と従来の作業的な仕事を中心に請け負ってきた税理士は、仕事が減っていくことを憂いています。

こうしたことは皆さんの業界でも必ず起こります。

ITやAIの進化に加えて、新たな生活様式。
スーパーやコンビニ、ファストフードのレジ一つをとってみても、急速な変化が起きていることは誰もが感じていることです。

今はまだある仕事が将来無くなる前提で今からこれをやめ、それに代わる新しいことに挑戦するのはとても勇気のいることです。多くの場合、人は変化と失敗を恐れ、新たな取組みを「やった場合のリスク」を過大に評価しがちです。

しかし、リスクを正しく評価するには必ず「やらない場合のリスク」も計算し、長期的な視点で「やった場合のリスク」と「やらない場合のリスク」を天秤にかけて判断しなければいけません。

どんな業界でも必ずある「そのうち無くなる仕事」が実際に無くなっていく速度が増しています。

「今はまだある仕事」は「今のうちからやめなければいけない仕事」のはずです。

実際に仕事が無くなってから新たな挑戦をしたのでは遅すぎることは言うまでもありません。

「やった場合のリスク」と「やらない場合のリスク」。両方に向き合ってみてください。