一時支援金の申請が始まりました。
1月に発令された緊急事態宣言の影響を受けた事業者に支給されるものですが、時短営業の協力金を受ける飲食店などは対象外となるため、要件を充たす企業はそれほど多くは無いと思われます。
ただ、不正防止の観点から登録確認機関(税理士、金融機関や商工会など)の事前確認を受けたうえで申請することになりました。そのため、登録確認機関としての資格を有する機関には国から“強め”の協力要請が出ています。
3月15日時点での登録状況は以下のとおりで、士業等には中小企業診断士や行政書士士などが含まれています。
全国の税理士事務所数は3万弱程度のため、登録状況に他の士業が含まれているとしても現時点で2割前後の登録数と考えられます。
登録機関が事前確認を行った場合、国から事務手数料として1,000円/件が支払われます。事務手数料を辞退した場合は申請者に対して自由に手数料を請求できますが、国が金額を決めている以上、申請額の1割というような請求は難しいところでしょう。
「この忙しい時期に、ボランティアなんかやっていられない!」
これが有資格機関の正直な感想であるはず。そして、自らのお客様に対して「うちは対応しないから、よそで確認してもらってくれ!」という税理士が意外に多いと耳にしました。
個人確定申告の詰めの時期であり(今年は4月15日まで延長されました)、続けざまに3月決算法人の確定申告というタイミングでもあるため、気持ちは分からなくもない…。
ただ、お付き合いがあるお客様に対して協力しない、あるいは協力する余裕すらないというのはすごい感覚だなと感じております。
また、事業再構築補助金についても「顧問税理士がやらないと言っている!」などのご相談を実際に受けております。
確かに給付金や支援金と異なり、ノウハウが必要とされ、膨大な手間が掛かる補助金申請については非対応も致し方がないとは考えます(誤解なきようにお伝えすると、補助金の申請にはそれなりの報酬が発生するのが一般的です)。
しかし、事業計画の作成まで必要となると顧問税理士が適任であることは間違いなく、それが無理であれば窓口を広げている他の支援機関に依頼が殺到するはず。しかし、大量にさばける支援機関はごく一部と考えられるため、順番待ちによる補助金難民企業が多数出ることが予想されます。
今後、不正防止、生き残りをかけた中小企業を深く支援するため、国が認める支援機関の関与が必須となるものが多くなってきますが、その認定支援機関の代表格である税理士がこのようなスタンスだと雲行きが怪しくなってきます。
そもそも、1年前から始まった新型コロナ関連の支援策につき、各専門家の対応に疑問を感じている中小企業の経営者が多いのではないでしょうか。
雇用調整助成金の開始時期における社労士からの拒絶反応もなかなかのレベルでしたが、コロナ禍でも積極対応していた専門家は拡大志向であり報酬目当てでもあるようでした。
当然ですが、毎年合格者が増えているのですから各専門家の人数は増えています。しかし、プロフェッショナルの割合が急速に減少していると感じるのは私だけでしょうか?
私どもはコロナ禍で専門家の化けの皮が剥がれ始めたとすら考えております。
そういう当社も、顧問税理士のご依頼をいただいても元々お付き合いがない企業様からはお引き受けしていません。現在はセカンドオピニオン契約にて継続してご相談いただいているお客様からご依頼いただいた場合のみ検討させていただいている状態です。
いまさらですが、コロナ禍のずーっと前から経営環境が急速に変化していました。そのため、お客様一社一社に掛ける時間やエネルギーが確実に増加しており、より丁寧に、より深くお付き合いしていかなければ良い仕事はできないと考えております。
これはプロフェッショナルであれば共通認識であるはず。
コロナ禍で今も苦しんでいる中小企業の中には、プロフェッショナルとお付き合いしていなかったことが原因であることも多いように感じます。
今後はより混迷が深まる可能性がありますので、皆さまも安心してお付き合いできるプロフェッショナルは確保されておいてください。
いざというときに「うちはやりません」、「うちはやれません」では何のためのお付き合いなのかということになってしまいますので…。
なお、これはあらゆるビジネスに共通の課題だとも考えております。