ZOZOの中期経営計画を逆さまにしてみる

今や色んな意味で誰もが知る『ZOZOTOWN』。
その業績悪化ぶりは報道により誰もが知るところです。

2018年4月に発表した3ヵ年の中期経営計画で掲げた売上目標は、初年度から大幅未達、ZOZOの今後の経営計画に大きな影響が出ることは間違いありません。

さて、このZOZOの中期経営計画、目にしたことがない方も多いかと思いますので、確認しておきましょう。

 

ZOZOなりの理屈があってこれだけの成長を見込んだのかもしれませんが、縮小していく市場において私たち中小企業の売上高が毎年右肩上がりに成長し続けていく計画など全く意味をなさないことはもうよいでしょう。

しかし、多くの経営計画では、今が順調であればなお、来年以降も順調に売上が推移していくか、来年も同じという前提で数字を組んでいる場合がほとんどです。
しかし、そうした根拠の薄い計画の多くは残念ながら「数字のお遊び」の域を出ません。

そこで発想を変えて、今が順調なのであればなお、この先思うように数字が上がらなくなることを仮定した計画をぜひ立ててみて欲しいのです。

では、ZOZOの中期経営計画、時間の流れを逆さまにしてみましょう。
すると、今が絶好調の時、ここから3年、取扱高・売上高・営業利益が毎年下がっていく計画に変化します。

 

 

果たして、こうした推移をたどることはあり得ないことでしょうか?

・今は順調な集客方法が上手くいかなくなったら・・・
・競合他社の低価格戦略によって、顧客が奪われたら・・・
・隣町にライバルが出店してきたら・・・

考えてみてください。これらは全て実際に普通に起こり得ることのはずです。
実際、時系列を逆さまにしたZOZOの数値、ある意味、恐ろしいほど自然な衰退です。

恐れている何かが起き、それに対応できなければ、全ての企業にこうしたことが起こる可能性があるのは当然のことです。

順調に推移していくだろうという根拠のない希望的観測による計画しか立ててこなければ、実際にこうした事態に陥った時には成す術もなく退場する羽目に陥るかもしれません。

しかし、こうした事態を予め想定することで、自社の損益構造が違った角度から見えるようになり、今のうちからその時に備えて対処方法を練ることができるだけでなく、事態に先立ち別の方法によって売上高を確保する種蒔きを始めておくこともできます。

場合によっては、その時に耐え得るだけの資金を、業績が順調で金利も低い今のうちに銀行から借りて、準備しておいてもよいかもしれません。

売上高が激減する可能性のある、考えられる脅威の1つや2つ、どんな企業でも思い当たるものが必ずあるはずです。
その脅威が起こり、売上高が激減する計画をぜひ一度立ててみてください。

きっと何かが見えるはずです。