業績改善のお手伝いをさせていただく際によく感じることですが、業績が悪化している企業にはいくつかの特徴があります。
そのうちの一つが、「経営者が自社を把握できていない」ことです。
取引先や売上についてはそれなりに把握していても、経費については無頓着であることが多いのです。
もちろんある程度の規模になってくれば、経営者自らが全ての経費を把握している必要はありませんし、あまり細かい経費にまで経営者自らがいちいち口を出すのもどうかと思います。
経理・財務担当者が把握、管理し、経営者の問いにいつでも答えられる状態であれば、それでかまいません。
ただし、経理・財務担当者がいない小規模な企業や、業績が悪化している企業であれば話は別です。
まずは経営者自らが、自社の中身を細かく把握し、先頭に立って無駄や過不足を見直す必要があります。
私が知る、ある経営者は毎年決算後に仕訳帳を印刷し、1年間の全ての仕訳に自ら目を通していらっしゃいます。
ある日突然、父親から引き継ぐことになった非常に苦しい財務状況であった会社の経営を再建するために、十数年前にまず始めたことを、年商10億円規模、従業員は100名近くまで増え、経常利益率10%以上を平均的に出し続けている現在でも毎期必ず行っているのです。
私からの問に対し、この経営者から曖昧な回答が返ってくることは、まずありません。
自社のことを自らが、きちんと把握しているからです。
特に無駄なものを増やしているつもりはなくても、固定費はどんな企業でも、よほど意識的にならない限り少しずつ膨らみ続けます。
必要だと思って契約したものの、いつの間にかほとんど使わなくなっているのに解約もしていない。月額1万円未満など比較的低額で毎月口座振替になっているため、ほとんど気に留めずに支払い続けている。
皆さんの会社にもそんな経費が、ないでしょうか?
多くの経営者は売上増加には強い意欲を示しても、経費の見直しにはあまり興味を示しません。
しかし、当たり前ですが、10万円の経費削減は、そのまま10万円の利益増につながります。
しかも、苦渋のコストカットではなく、「不要なものをやめる」だけの経費削減に痛みは伴いません。
もう一度繰り返します。
固定費はどんな企業でも、よほど意識的にならない限り少しずつ膨らみ続けます。
そして、その中には、多かれ少なかれ今では不要になっているものが含まれています。
業績が安定している企業であっても、放っておけば必ずといっていいほど少しずつ無駄は発生していくものです。
3年に1度ほどの頻度での「把握、見直し」でも、十分に成果は得られます。
経理・財務担当者、右腕左腕に命じてもいいでしょう。
当たり前のことだと感じるかもしれませんが、きちんと実行できている会社は意外と多くありません。
経費の総点検、今年はぜひ行ってみてください。