中小企業経営に不可欠な「銀行融資」。
私たち中小企業が融資を受けようと考えた場合、保証協会付き融資、もしくは代表者による個人保証が当たり前だと思い込んではいませんでしょうか?
もちろん業歴の浅い企業や、業績が低迷している企業は、「信用保証協会」に保証人になってもらう必要がありますし、信用保証協会をはさまずに、直接銀行からお金を借り入れる、いわゆるプロパー融資であっても、多くは代表者による「個人保証」が付いて回ります。
しかし、ある程度の規模で好業績を続けていれば、話は別です。にもかかわらず、いつの間にか、なんとなく「信用保証協会」や「個人保証」を当たり前のことのように感じてしまい、交渉すらしていないケースが多く見られます。
ご存じのように、平成27年9月に配信された「金融行政方針」によって金融庁は「個人保証に依存する融資姿勢を改める」として、個人保証を外していくことを重点施策としてあげました。
しかし、残念ながら実際には銀行が積極的に個人保証を外すようなことはありません。
仮に個人保証を外した後で、その融資が不良債権化すれば、担当者の責任は免れませんので、個人保証を外したがらないのは当たり前かもしれません。
ただ、それはもちろん銀行の都合です。
個人保証が外れれば、事業失敗などによって個人資産を全て失うリスクから解放されますので、好業績が続いている企業は必ず交渉してみるべきです。
「検討します」とかなんとか言って、お茶を濁されることも多いのですが、中には拍子抜けするほど、あっさりと個人保証の除外に応じてくれるケースもあります。
知っておかなければならないのは、好業績を続けていても銀行側から「個人保証を外します」とは、まず言ってこないということです。こちらから言わなければダメなのです。これについては金利交渉についても同じです。
複数行と付き合う中で、一行でも個人保証を外してくれる銀行が現れれば、次はそれを盾に他行にも交渉します。
融資をとられたくない一心で他行も慌てて個人保証を外すことでしょう。
ちなみに、現在、取引のない銀行が新規で融資の営業に来た時もチャンスです。
保証協会付き融資を受けている企業は「プロパーなら借りてもいいよ」。
プロパーで融資を受けている企業は「個人保証なしなら借りてもいいよ」。
ぜひ、こう言ってみてください。
希望条件が通れば、しめたもの。それをネタに既存借入先の他行にも一気に交渉です。
マイナス金利の現在、銀行は日銀に余ったお金を預けて損をするよりも、業績の良い企業への貸し出しを選びます。企業にとっては有利な融資を引き出すチャンスです。
当社のお客様も、個人保証を外すことに成功するお客様が徐々に増えてきました。
繰り返しになりますが、みなさんが有利になる条件を、銀行側から積極的に提示してくることは残念ながら、まずありません。
金利であれ、プロパー融資であれ、個人保証の除外であれ、何はともあれ、まずはこちらから担当者に言ってみることが重要なのです。
「個人保証、外してくれませんか?」