皆さまが税理士にご不満をお持ちなのは十分に承知しております。
税理士にご不満がある場合、直接クレームを入れないのであれば、いきなり解約という方法で関係が終わることも多いのではないでしょうか。
当社は業界に先駆けて、10年以上前から「税理士のセカンドオピニオン」として相談を受け始めました。
最近では盛んに取り上げられるようになった医療のセカンドオピニオンも、当時は一般的ではなかったため、お客様にとっても「税理士のセカンドオピニオンって何?」というような状態でした。
当社が始めたサービスなので、とりあえず申し込んだだけというお客様もいらっしゃったくらいです。まず、何をどのように相談すればよいか分からないと…。
しかし、それでもご相談を受け始めると、どのお客様でも共通なのは顧問税理士に対するご不満でした。つまり、セカンドオピニオンのご相談の過半は、まず顧問税理士の不満から始まります。中には、当社も気を付けなければと考え直すようなご相談もありました。
税理士業界がサービス業として低レベルなのは、私自身もよく理解しております。まだまだ多くの税理士とそのスタッフは、法律と税務署を盾に、お客様よりも自らを守るような話し方がクセ付いております。
皆さまからすれば、そのような話し方をされるくらいであれば、税理士に相談するよりもAIに問い掛けた方が100倍マシなはずです。
とはいえ、セカンドオピニオンでお客様のお話しを伺って、ときどき気になるのは、顧問税理士から積極的な指導があって然るべきというお客様自身のスタンスです。
「税理士“先生”なのだから能動的であるべきであり、お客である自分達は受動的であって当然」というような感じです。
これは医師や弁護士に対する相談であっても同じではないでしょうか?
なぜ、セカンドオピニオンが成り立つのかというと、顧問税理士、主治医、顧問弁護士に対しては受動的でありながら、セカンドオピニオンに対してはお客様が能動的になりやすいからです。
「顧問税理士がこのように言っているのだが、納得できない。本当にそうなのだろうか?」
お客様自身が納得できない点を、本来相談すべき顧問税理士よりも、セカンドオピニオンに対しての方が話しやすい。しかも、現在の不満を最初にぶつけてくれる。それだけでセカンドオピニオンは成立します。
そして、中には顧問税理士には相談すらしていないというお客様もいらっしゃいます。もちろん理由は「相談してもムダだから」。
誤解を恐れずにお伝えすると、セカンドオピニオンでの相談内容自体は大したことがないことが多いのです。自らを守る顧問税理士と、その姿勢に不満を持つお客様との間でコミュニケーションが成立していないだけ。
顧問税理士が説明してもお客様が納得しない内容を、私どもが説明すると納得される場合もあります。
私どもがセカンドオピニオンをさせていただいても難しいと思うケースは、お客様からのご相談内容自体が曖昧で、私どもに何となく状況を説明すれば、解決策が出てくるとお考えの方です。
もちろん、ご相談内容が曖昧の場合は、私どもから具体的に掘り下げる質問をさせていただきますが、お客様自身が相談内容のゴールのイメージを持てていないため、話が進展しないケースも見受けられます。
そのようなお客様は、最後の解決策として、「では、エー・アンド・パートナーズ税理士法人と顧問契約をすればよいか?」とお言葉をいただくこともありますが、正直申しまして、このような場合は顧問税理士として契約させていただいても、解決できない問題かと考えております。
先日、当社グループの長年のお客様である高山さんが本を出版されました。
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この本には、2度の「がん」を経験された高山さんの闘病記が綴られています。高山さんの闘病に対する姿勢は、経営者にとって非常に参考になると考えますので、是非お読みください。
高山さんは命を懸けて闘われました。そして、大袈裟に言えば、会社経営も、「法“人”」の命が懸かっています。しかも、法人の寿命は、人間の平均寿命よりも圧倒的に短いのです。
命がある会社の相談につき、経営者が受動的になってはいけません。皆さま自身が情報をかき集め、顧問税理士に積極的に質問と相談を繰り返し、回答に納得できなかったり、顧問税理士では役不足と判断すれば、セカンドオピニオンも利用すべきなのです。
また、このまま行くと本当に危ないという経営状態であっても、「顧問税理士の仕事には納得していないけど、付き合いがあって簡単に解約できない…」とおっしゃる方がいらっしゃいます。
もし、ご自身の命が懸かっていても、「付き合いがあるから病院を変えられない…」とおっしゃるでしょうか?
たかが税理士です。命までは取られません。顧問税理士ときちんとコミュニケーションを取れないのであれば、セカンドオピニオンで相談をされるべきですし、顧問税理士を変えるべきです。
高山さんのような患者は、医師に「治したい!」と思わせるはずです。私どもも同じで、「会社を本当に良くしたい!」と熱意を持っていらっしゃる経営者には、より「力になりたい!」と思うのです。
税理士業界がお客様に対する姿勢を改善すべきとともに、皆さまにもより積極的にご相談いただきたいと、業界人の一人として考えております。