三回にわたってマイナンバーによって変わる税金の話をさせていただきましたが、今回が最終回です。
前回までは、いろいろと細かな話をさせていただきました。
自分で言うのも何ですが、専門家が重箱の隅をつついて、面白おかしく話をしたに過ぎません。
私も仕事柄マイナンバーの講演依頼をいただきますが、「何も変わりませんよ」と言ってしまったら依頼者のご迷惑になりますので、話はしますがその程度のものです。
新しい制度がはじまるのですから、今までと何も変わらないということはありません。
ですが、日の当たる場所で普通に仕事をしている中小企業に対して、私は「何も変わることはありません!」と言わせていただきます。
こういった機会を後ろ向きにばかりとらえていても、何もプラスになることはありません。
そこで最終回として、マイナンバーの活用法をご紹介させていただきます。
マイナンバー(個人番号)制度が大きく取り上げられたために陰に隠れてしまいましたが、すべての株式会社などの法人や団体に対しても、新たに企業版マイナンバーとでも呼ぶべき『法人番号』が決められました。
この法人番号の特徴は、
- 利用範囲に制限がない
- 専用サイトで全面公開される
というものです。
つまり、はじめから民間で利用してもらうことを前提に用意されたものだということです。
具体的な利用方法をひとつご紹介いたします。
それは『法人番号公表サイトを利用した新規設立法人の把握』です。
現状、民間企業では、新規営業先の開拓や会員勧誘先の把握に当たり、インターネットや登記所の商業登記、信用調査会社などの様々な情報源から『有料』で情報を入手しており、人件費や手数料などの手間・コストがかかっています。
今後は、株式会社など新たに設立されると、法務省から国税庁に登記情報が連絡され、それによって法人番号を指定し情報が公開されることから、新たに法人番号を指定された法人は、新規設立会社として把握することが可能になります。
ただし、マイナンバー開始時に既に存在している法人の法人番号については、平成27年10月に一斉に通知・公表されていますので、新規設立会社の把握に法人番号が活用できるのは、平成27年11月以降に新たに設立された法人からとなります。
それでは具体的は方法をご紹介いたします。
まず、専用サイトで公表されている情報は『基本3情報』と呼ばれる次の3項目です。
▼[国税庁]法人番号公表サイト
http://www.houjin-bangou.nta.go.jp/
- 法人番号
- 商号又は名称
- 本店又は主たる事務所の所在地
ファックスやメールアドレスまでは記載されていませんが会社名と住所が分かれば、DMの発送が可能です。
検索条件の設定で『変更年月日』を平成27年11月以降の日付で絞り込むことで新規設立会社だけの抽出を行うことが可能となります。
ただし、変更項目の中には新設だけでなく、住所や商号の変更・合併等も含まれてきますので、さらに絞り込んだ抽出を行うために『基本3情報ダウンロード』を利用します。
データはCSV形式等でのダウンロードが可能となっており、サイト上では絞り切れない情報を抽出することができます。
ダウンロードできるデータには『全件データ(各都道府県別)』と『差分データ(全国)』の二種類があります。
差分データは文字通り日々更新された全国のデータを一覧にしたものです。
一ヶ月分の差分データをもとに毎月月末に都道府県別の全件データファイルを作成し、毎月1日の午前0時までに公開されることとなっています。
データの形式は、『CSV形式・Shift-JIS』、『CSV形式・Unicode』、『XML形式・Unicode』の三種類がありますが、エクセルで簡単に編集できる『CSV形式・Shift-JIS』を使ってください。
ダウンロードしたファイルを開くと無造作にデータが羅列されているため、どこに何が書いてあるのかがさっぱりわからない状態となっています。
そこでまず最上部に行を一行挿入し、それぞれ該当する列に次のとおり項目名を入力してください。
項目の入力が終了したら次にエクセルの『フィルタ』を設定します。
フィルタの準備ができましたら項目の絞り込みを行っていきます。
先ほど項目名の設定でご覧いただいた図をもう一度ご覧ください。
黄色くなっている項目が絞り込みを行う項目です。
- 処理区分は『1』のみチェックを入れてください
- 訂正区分は『0』のみチェックを入れてください
- 変更年月日は平成27年11月以降で抽出したい該当月にチェックを入れてください
- 法人種別は『301』が株式会社、『305』が合同会社となっています
以上の作業によって新規設立会社の絞り込みを行うことが可能となります。
私が実際に作業をしたデータを検証したところ、かなりの精度で新規設立会社が抽出されていることを確認することができました。
しかし、データの中には法務局に設立登記のない法人など、一斉に法人番号をふることができなかったと思われるものが、法人で後から法人番号が付番されたものが、散見していました。
そのようなデータは今後少なくなっていくものと思われます。
マイナンバー制度『法人番号』は、まだはじまったばかりの制度で、ほとんどの企業がこの法人番号をどのように活用していのか見当もついていない状況です。
今回ご紹介した以外にも、法人番号公表サイトでは法人番号の活用法が紹介されています。
この新制度をうまく活用し、ビジネスチャンスにつなげてください。