今こそ自己株式を『消却』しよう!

第430号『本当はタダより”安い”ものはない!』において、地方税法の改正によってすべての会社に平等にかかっている法人住民税の『均等割』について引き下げとなる可能性が出てきたことをお伝えいたしました。

しかし、今回は逆に均等割が引き上げとなる場合があることについてお伝えいたします。
引き上げの対象となるのは、過去において『自己株式』の取得によって均等割の引き下げを受けている法人です。

改正の内容は以下のとおりです。

法人住民税の均等割りの税率区分の判定の基準となる『資本金等の額』が『資本金と資本準備金の合計額』を下回る場合の均等割りの税率区分の判定の基準は、「資本金と資本準備金の合計額」とする。

 

(図)

⇒上記に該当する場合には、法人住民税均等割の税率区分の基準を『資本金の額+資本準備金の額』とします。

なお、ここでいう『資本金の額+資本準備金の額』は貸借対照表に計上されている金額です。

 

(貸借対照表)

 

 

自己株式を取得しても貸借対照表上の資本金の額と資本準備金の額は減少しないため、典型的に今回のケースに該当することとなります。

また、ここで注意をしなければならないのは、過去に自己株式を取得している法人も対象になるということです。

そこで、過去に自己株式を取得し均等割りの引き下げを受けている法人については何らかの対応を迫られることとなりました。

具体的には、次の二つの手順を踏むことになります。

 

(手順)

この二つの手続きを踏むことによって貸借対照表の資本金の額を減少させることができます。

自己株式の取得をし、そのまま保有している法人はたくさんあります。

何故、すぐに消却をせずに今日まで保有していたのか?という疑問が生じます。

その最大の理由は『消却をする必要がなかった』からです。

実は、減資と株式消却については会社法に従った厳格な手続きと法務局への登記が必要となります。

つまり、そこまでしなくても均等割りを引き下げることができていたので当初の目的は達成されていたのです。

繰り返しになりますが、このまま取得した自己株式を放置していると均等割りのランクが引き上げられる結果となります。

今こそ金庫の中で眠ったままの自己株式を消却すべき時なのです。