赤字の会社にとっては、1円でも税金が安いに越したことはありません。
先に行われた税制改正によって、すべての会社に平等にかかっている地方税の『均等割』についてランクが引き下げになる可能性が出てきました。
対象となるのは、資本金が1千万円を超える会社です。
『均等割』とは、資本金と従業員数の2つを基準にしてすべての会社に対して一律にかけられている税金です。
そのため資本金が1千万円を超える会社については資本金を減少させることによって『均等割』を減らすことが可能となります。
このように会社設立後に資本金を減少させることを『減資』といいます。
減資をする場面はいくつかありますが、その一つが節税を目的としたものです。
経営再建中のシャープが、減資をして税法上の『中小企業』になることで、中小企業に認められた税制優遇を受けようとしたことはまだ記憶に新しいと思います。
減資の方法には、金銭の支払いを伴う減資と金銭の支払いを伴わない減資の二つの方法があります。
これを『有償減資』と『無償減資』といいます。
(注)会社法上、有償減資は存在しませんが、あえてこのように説明させていただきます。
どちらも資本金を減少させる手続きなのですが、『均等割』のランクを決める基準となる『資本金』は決算書上の資本金ではなく、法人税法上の『資本金等の額』であり、この資本金等の額は『有償減資』でしか減少させることができませんでした。
さらに、この『有償減資』を行うことができるのは内部留保のある黒字会社だけで、債務超過の赤字法人は『有償減資』をしたくても会社法違反となるため、指をくわえて我慢することしかできないという現実がありました。
しかし、今回の改正によって『欠損てん補』のために資本金を減少させる『無償減資』を行った場合には、地方税法上では資本金等の額を減少したものとすることとなりました。
この取り扱いは、これから行う『無償減資』のみならず、平成13年4月1日以後に行われた『無償減資』も対象になりますので確認が必要となります。
また、注意すべき点が一点あります。
それは、資本金の『無償減資』から1年以内に欠損てん補に充てた金額に限ると規定されていることです。
通常は『無償減資』と同時に行われるため、気にするほどのことではありませんが、覚えておく必要はあります。
これによって、今までは『均等割』を下げたくても減資をすることができなかった会社においても、お金を払い出さずにタダで節税を行うことができるようになりました。
ただし、タダとは言っても手続きに費用がかかります。
では、減資を実行した場合の費用対効果を確認しておきましょう。
『無償減資』は、会社法の手続きに従って処理する必要があるため、官報への『公告』債権者への『催告』といった耳慣れない手続きが必要になります。
概算でかかる費用は以下の通りです。
概ね20万円といったところです。
これにより、引下げとなる均等割額は以下の通りです。
1年あたり『11万』の節税になりますので、2年で手続費用の元がとれる計算です。
そして3年目以降はプラスになります。
なお、この改正は平成27年4月1日以後に開始する事業年度から適用となり、期末時点での資本金で判断されます。減資が期末までに完了していれば適用されますが、減資の効力発生までに1ヶ月以上の期間が必要となります。余裕をもってご準備ください。
タダで税金が安くできるこの機会をお見逃しなく。