「配偶者控除」が無くなったら、あなたはどうしますか?
皆さんご存知の「配偶者控除」ですが、ついに廃止の方向で検討されています。
以前から、時代の変化とともにその改正が議論されてきましたが、早ければH29年1月から改正となる模様です。
誰もが知っている「103万円」という給与のライン。
配偶者控除の廃止によって、このラインは当然になくなります。
このラインの消滅が、女性の働き方を大きく変える、(政府に言わせれば、このラインが女性の勤労意欲に歯止めを掛けていた、とのことのようですが)、ひっくり返せば、雇用する側の雇用のあり方も変わる必要が出てきます。
◆新しい制度の発足?
配偶者控除の廃止によって、現在検討されているのが「夫婦控除」です。
いくつかの案は出ているようですが、軸になるのは、配偶者の所得にかかわらず、一定金額を夫婦のいずれかから控除できる案で、これまでの配偶者控除の趣旨とは全く異なるものになりそうです。
◆主婦の収入の壁
先述の「103万円の壁」ですが、この税制の優遇を受けるため、このラインまでしか働かない(働けない)という主婦は、多くいらっしゃいます。
また、「130万円の壁」。
この用語もよく耳にする、ご主人の社会保険の扶養になるためのラインです。
実際にはこの、「103万円の壁」「130万円の壁」を上限に労働時間を調整しているというのは、どこにでもある風景ではないでしょうか。
また、大規模な企業では、H28年10月から、パートなどの短時間労働者の社会保険の適用基準の改正によって、年収106万円以上で社会保険加入となる可能性もありますから、働く会社の規模等によって「106万円の壁」「130万円の壁」が今後の一つのラインになることが予想されます。
◆雇用する側にも変化を求められる
現状では年収160万円を超えてくると、配偶者控除も受けれず、また、ご主人の社会保険の扶養にも入れないが、トータルでの手取りがグッと増えてくるライン、と言われています。
そうすると、今後は、
- 相変わらず、年収103万円あたりの労働時間がちょうどいい
- 社会保険の扶養になれる年収130万円弱まで労働時間を増やしたい
- 手取りを大きく増やすため、年収160万円以上、むしろ、フルタイム勤務を希望する
という、変更の希望があることが予想できます。
仮に会社がこの希望に対応出来ない場合には、例えばその希望を叶えるべく転職をされてしまう、そんなことも考えられます。
あるデータによれば、配偶者控除の廃止による増税によって、パートタイムではなくフルタイム勤務への希望の割合が、これまでの全体の13.1%から25.2%へと、ほぼ倍増するという情報もあります。
また、実際には、この年収が103万円以下の配偶者を持つことで、ご主人の給与に「扶養手当」などを支給している企業も多く存在しています。
個人への税負担の改正が、主に女性の働き方へ、さらには、この女性を雇用する側の体制にも変化を求めることになりそうです。
私個人的には、上記のような「手当て」があるとしたら、これ自体が今後は労働時間の調整をする大きな要因になると考えますが、企業としても労働者に不利にならない様な給与規定の改定が必要になるものと考えます。
また、「女性の社会進出を!」と謳うなら、税制改正の前に、例えば、子供を預けても安心して長く働けるような社会的環境を整備することの方が先のようにも感じます。
年収103万円のパートさんを多く雇用しているあなた、
「配偶者控除」が無くなったら、あなたはどうしますか?
必要な人材の確保、一人あたりの労働時間の増加による生産性の確保など、労働条件の変更の希望があっても、それに対応できる体制の準備が必要になりそうです。