「平成28年1月からマイナンバー制度が実施されます!!」
テレビの政府系広告もはじまり、制度の名前くらいは誰でも知っているかと思います。
ナンバーの通知が始まる平成27年10月までも、もう半年もありません。
しかし、「では、会社では一体なにをどうしたらいいの?」という経営者の方も多いのでないでしょうか。
そこで、経営者(事業者)が「しなくてはならいこと」、「してはいけないこと」について、簡単にまとめてみることとしました。
★ マイナンバー制度の概要
まずは制度の概要についてです。
ご存知の通り、この制度は社会保障や税制度の効率性・透明性、国民にとっての利便性や公平性の観点から実施されることとなりました。
まず、H27年10月から順次、マイナンバーが個人の住民票の所在地へ「通知カード」が発送されます。さらに、申請をした者には「個人番号カード」が発行されます。
このマイナンバーですが12桁の番号で、住民票を持つすべての国民に割り当てられます。したがって海外にいらして住民票がないような方は、帰国して住民票が登録された時点で発行されることとなります。
この制度の導入によって、税務行政の効率化と納税者サービスの向上が期待されています。
★ 事業者がしなくてはいけないこと(1)
先の社会保障と税制度での効率化のため、一般の事業者では、社会保険や雇用保険・労働保険等の手続き関係の書類、そして、税務署等へ提出のための源泉徴収票や支払調書などの作成において、このマイナンバーを記載する必要があります。
また、各種報酬や地代家賃、あるいは配当金などの支払調書の作成、と考えると、その対象は事業者の従業員だけではなく、取引先にまで及ぶこととなります。
従って、これらの者のマイナンバーの提示を受けること(収集)が必要になります。
★ 事業者がしなくてはいけないこと(2)
マイナンバーの提示を受ける際には、いわゆる「本人確認」が、提示を受ける事業者に義務付けられています。
この本人確認は、原則として「マイナンバーの確認」と「身元確認」の二つの確認を厳格に行わなければなりません。具体的には、下記のような書類の確認が必要となります。
■1.従業員など本人から提示の場合
(1)「個人番号カード」の確認
又は
(2)「通知カード」又は「マイナンバーの記載のある住民票」の確認
+
「運転免許証」又は「パスポート」等の確認
■2.代理人から提示の場合
⇒代理人のケースは、例えば、年末調整のために扶養親族のマイナンバーが必要な場合や、従業員の奥さんを社会保険の扶養親族とする(3号被保険者)とするために、奥さんのマイナンバーが必要な場合などが該当します。
(1)原則として、
親族からの「委任状等」の確認
+
「代理人の運転免許証等」の確認
+
「奥さんの個人番号カード」の確認
又は
「通知カード」又は「マイナンバーの記載のある住民票」の確認
★ 事業者がしてはいけないこと(1)
従業員の氏名・年齢・住所・電話番号等は、いわゆる個人情報保護法に規定される「個人情報」となりますが、この情報にマイナンバーが紐づくと「特定個人情報」として、マイナンバー法の厳しい規制の適用を受けることとなります。
この法律では、事業者が取得したマイナンバーは、前述の社会保障や税制度の手続き上、書類を行政機関へ提出するときにしか使ってはいけないことになっています。
従って、例えばこのマイナンバーを社員番号にしたり、番号と営業成績等を紐付けて管理したり、取引先の発注履歴と紐づけたりといったことに使用することは禁止されており、違反した場合には厳しい罰則規定が存在します。
★ 事業者がしてはいけないこと(2)
特定個人情報は、(1)と同様に、書類を行政機関等へ提出するとき以外では、第三者に提供することはできません。たとえその個人の承諾を得たとしてもできないこととなっています。
したがって、例えばグループ会社間への従業員の出向や、転籍の場合でも、グループ間で情報を共有することはできません。
転籍等の後に、改めてマイナンバーの提示を求め、本人確認を行う必要があるのです。
★ 最後に・・事業者がしなくてはいけないこと(3)
上記のような規制があることから、マイナンバー法では、個人番号や特定個人情報について、事業者に対して厳格な情報管理を求めています。
具体的には、マイナンバーを取り扱う担当者や責任者を明確にしたり、情報自体にアクセスできる制限をかけたり、その情報にアクセスした履歴を残すなど、従業員等の特定個人情報を扱う業者として、組織的に取り組む必要があります。
簡単にまとめると、上記の通りですが、まだまだ、国民への周知度も低く、具体的対応の面でも不明瞭な部分はありますが、今後の動向で、新たな情報が入り次第、またお伝えするつもりです。
しかし、マイナンバー法が実施されてからの対応では遅すぎます。
制度の情報にはアンテナを張り、平成27年10月以降、マイナンバーの収集と管理が始められるよう、今から準備することをお勧めいたします。