YouTuberよ!確定申告に備えているか!

動画投稿サイトYouTubeに「Hello YouTube!!」のフレーズで始まる人気チャンネルがあります。
子供と一緒にいつも何気なく見ていたのですが、あるときにその方が私の地元出身者ということで一方的に片想いしています。(笑)
近頃、YouTubeにユニークな動画をアップすることで視聴者を増やしその広告収入で生計を立てている『YouTuber(ユーチューバー)』といわれる方々が注目を集めています。
有名なチャンネルの多くが商品のレビューやゲームの動画を配信していますが、中には幼稚園児と小学生と思われる三人姉妹がおもちゃのレビューをしているものや、旅先での観光情報や外食の様子をアップしているものもあります。
そんなYouTubeですが、どれだけ稼げるのかが気になります。
諸説あるのですが、お客様や知人の話を総括すると『動画再生回数×0.1円』というのが有力な線だと思われます。
つまり月に10,000回再生されたとしてもわずか1,000円。
これだけ聞いてもYouTubeだけで生計を立てるというのは誰にでもできることではないことがわかります。
それでもインターネットを使うことで手軽に小遣い稼ぎができるため、私たちの周りにもYouTubeだけでなく、アフィリエイトやオークションをやっている人は大勢いて、毎年この時期になると確定申告についての相談を受けます。
今回はそんなインターネットで収入を得ている人達の確定申告について話をしてみたいと思います。
質問が多い事項は次のとおりです。
(1) 申告をする必要があるか?
(2) 税務署にバレないか?
(3) どんなものが必要経費として認めれるのか?
(4) 自分の手間賃は経費としてみてもらえるのか?
(5) 何をどのように申告をしたらいいのか?
(6) 雑所得と事業所得のどちらで申告したらいいのか?
今回は質問の中でもっとも多い『申告をする必要があるか?』と『税務署にバレないか?』についてお話いたします。
この質問に答えるためにはまず『所得』と『収入』の違いを説明させていただく必要があります。
収入とは、通帳に入金された金額そのものの合計額をいいます。
所得とは、収入からその収入を得るためにかかった『必要経費』を差し引いた『儲け』のことです。
つまり収入が100万円あっても、必要経費が100万円かかっていれば儲けはゼロとなり申告の必要はありません。
そのため、家庭で不要になったものをインターネットオークションに出品するような場合には、通常、購入価格よりも高い価格で落札されることはありませんので申告の必要がないことがわかります。
もし仮に購入時よりも高く売れることがあったとしても『生活に通常必要な資産』の売却による儲けは税法上課税しない取り扱いとなっています。
申告が必要となる儲けは年間の合計額で判断され、インターネットによる儲け以外に給与収入が有るかどうかによって判断する必要があります。
確定申告が必要な儲けは次のとおりです。
(1) 給与収入がある場合・・・インターネットによる所得が20万円超の場合
(2) 専業主婦など他に収入がない場合・・・インターネットによる所得が38万円超の場合
基本的にはこの2パターンで判断していいのですが、例外があります。
所得が20万円以下で上記にあてはまらない場合でも、2ヶ所以上から給与をもらっていて確定申告をしなければいけない場合や住宅ローン控除、医療費控除などの適用を受けるために確定申告を行う場合には、インターネットによる儲けが1円であっても申告をしなければいけません。
つまり、何らかの理由で申告をする場合には自分に都合のいいものだけを“つまみ食い”できず、インターネットによる儲けを含むすべてを申告しなければならないと理解しておいてください。
詳細については、以下のフローチャートを参考にしてください。
《YouTubeやアフィリエイトの収入がある場合》

《オークションの収入がある場合》

次に『税務署にバレないか?』についてお話いたします。
正直にお答えします。
「私にもわかりません。」
ただ、そんなことを考えるくらいならちゃんと帳簿を付けて申告の有無を判断してください。
質問に対しての直接の回答にはなりませんが、税務署にはインターネット上の取引を専門に監視している『電子商取引専門調査チーム』の存在があることに触れておきます。
この部署ではインターネット上の取引を監視している『情報技術専門官』がおり、YouTubeやアフィリエイト、ネット販売などの動向をチェックし申告漏れの可能性を判断しています。
例えばYouTubeの場合には、再生回数からおおよその収入金額を把握することが可能です。
さらに、税務署では過去の申告から業種ごとの経費率を把握しており、それによって所得が生じているか否かを容易に判断することが可能となります。
その模様が紹介された国税庁の動画がありますのでご覧ください。
『(Web-TAX-TV)その収入、申告の義務があります!~情報技術専門官の仕事~』
YouTubeやアフィリエイトで収入を得るためのノウハウを公開している書籍やセミナーもあり、誰でも手軽に収入を得られるようになっていますが、申告を失念すると『無申告』として加算税を含めて追徴課税が行われます。
バレるかバレないかを考えるのではなく、必要以上の納税が出ないように事前に準備をしておくようにしてください。

ご存知でした?こんな場合の消費税の取り扱い!?

最近では、「カタログギフト」による贈答が随分と増えているようです。
あなたは、この「カタログギフト」を贈った場合の消費税、どのような処理が正しいと思われますか?
『商品券のようなものだから、非課税!!』
と、こう言われれば違和感はないように感じますが・・・正解はこうです。
『課税仕入れ』
消費税法では、国内において事業として対価を得て行われる資産の譲渡等を課税対象としていますが、一定のものは非課税と規定しています。
この一定の中には、「物品切手等」というものがあり、その中には「商品券」が含まれています。要は「商品券」の売買は非課税である、と法律が決めている訳です。
(非課税となる取引/国税庁HP)
従って、非課税である「商品券」を購入して贈ってもその行為は非課税としかならない訳です。
では、「カタログギフト」ではどうでしょうか。
先の一定のものの中には規定されていません。だから非課税にはならないということになります。
それにこの商品の実態を考えても、「カタログギフト」は、そのカタログに掲載された商品のカタログを贈った相手方が選択し受取ることを前提に、その対価として支払いをするものであり、言い換えれば、「一定の商品の販売とその送付」をパッケージした商品の購入ということになります。
従って、その購入時点で、仕入れ控除できる『課税仕入れ』となるのです。
これに似たもので、すこしケースが違いますが、同じ商品の購入なのに、購入場所で消費税の区分が変るものがあります。
印紙や証紙です。
先のリンクの国税庁HPの非課税の中の(5)には、郵便局等で譲渡した印紙や証紙は非課税になる旨の記載があります。
誰もがご存じでしょうが、印紙や証紙の購入が非課税であるのは、実はここの記載が根拠になっています。
しかし、この印紙等を購入しても非課税とはならず、課税仕入れにできる場合があります。
いわゆる『金券ショップ』です。
なぜでしょうか。
それは、先の国税庁HPに記載の「郵便局等の売渡し場所」というところにポイントがあります。
この売渡し場所とは、法令で定められた郵便局や法務局、あるいは正式に販売委託を受けたコンビニなどが該当しますが、実は、先の(5)では、この売渡し場所で販売された印紙や証紙は非課税という旨の記載になっているのです。
言い換えれば、それ以外の場所(金券ショップなど)で販売された印紙等は非課税にはならない、ということになるのです。
そこで、印紙等は金券ショップで購入することで、正規の『売渡し場所』で購入するより多少安く購入することができ、さらには消費税の計算上も仕入れ控除できることとなり、事業者からみれば経費節減と消費税の節税が図れる可能性があります。
これらの消費税、あなたの会社では、どのような処理をしていたでしょうか。
一度確認するとともに、処理方法と購入ルートの見直しをされてみてはいかがでしょうか。

必ずやってくる相続

相続税増税が始まりました。書店には相続税関連の書籍が並び、新聞や雑誌でも頻繁に特集が組まれています。そこに書かれている内容のほとんどは相続“税”対策。しかし、ほとんどの方に本当に必要になるのは相続税対策ではありません。“相続争い対策”です。
相続争いというと、財産がたくさんある家庭に起こるものと思われがちですが、ある程度の資産を保有している、いわゆる資産家と呼ばれるような人達は比較的早い段階から相続“税”を意識し、対策を練っているケースがほとんどです。その結果、相続が争いに発展するケースはごく稀なのです。
『うちには、争いになるほどの財産はないから大丈夫だよ!』
こんな家庭が一番危険です。実は相続争いの約8割を遺産5千万円以下のケースが占めており、昨年については10年前と比べて50%以上も争いの件数が増加していることが統計から分かっています。遺産5千万円以下ということは現時点の税制では、相続“税”がかからないことを意味しています。
つまり、相続税がかからない、少ない遺産をめぐる争いが増えているのです。
相続“税”が発生しなくても、どの家庭にも必ず“相続”は発生します。相続税増税を目前に控え、今一度ご自身の周りの“相続”について考えてみましょう。
では、なぜ遺産5千万円以下のケースでの争いが増えているのでしょうか。これこそが相続税増税をきっかけとした、書籍等により巷に溢れる相続に関する“中途半端な情報・知識”の弊害といえるのです。今まで相続のことなど考えたことがなかった人でも、“相続税増税”“終活”などのキーワードを耳にすることが増え、『もしや、我が家にも関連するのでは・・・』と書籍等で相続について調べます。相続について関心を持ち、知識を得ること自体はとても良いことです。しかし、その結果、肝心の相続対策を十分にとっていないにも関わらず、遺留分など、相続する側の人間の“権利意識”ばかりが高まってしまっているのです。
対策が不十分にも関わらず権利意識だけが高まれば、争いにならないほうが難しいといえるでしょう。
相続争いとなりやすいのは、例えば遺産が自宅土地と自宅建物しかないといった場合です。仮に長男夫婦が、亡くなった父親と自宅建物に同居していた場合、長男は、自宅土地建物を相続し、そのまま住み続けたいと考えるでしょう。しかし、そうすると同居していなかった次男には何も相続する財産がないことになってしまいます。そうなれば、次男は土地建物を売却して金銭を分けようと言いだします。しかし、売却すれば長男は住処を失ってしまいますので反対をします。こうなると、もはや争いは避けられません。
また、子供がいない夫婦の場合、『全ての財産を妻のA子に相続させる』との遺言を残しておくだけで、何の問題も生じませんが、遺言がなかった場合、夫の兄弟に相続権が発生してしまいます。このケースで、仮に遺産が自宅しかなく、夫の兄弟が相続権を主張してきた場合には、結果として自宅を売却せざるを得なくなるなど、争いは避けられなくなってしまいます。
上記のような場合でも、生命保険や遺言書を活用するなどして争いを避ける手立ては必ず存在します。相続税増税といっても課税の対象となる方は全国平均で7%程度です。そういった意味では引き続き相続“税”対策が必要なのは、ごく限られた人達といえます。
しかし、相続争い対策は全ての家庭に必要です。権利に対する知識を得るだけでなく、親族全員が幸せになれる遺産相続を実現するためには各家庭に合わせた相続対策が必要であることを認識し、必要に応じて専門家に相談してください。
相続の話は家族が死を迎えた時の話であり、当たり前ですが楽しい話ではありません。しかし、誰もがやがて死を迎えることは間違いありません。また、自分が亡きあと、家族が争うことを望む人など1人もいないはずです。家族が病気になり、相続が間近に迫ってからでは、対策が間に合わないばかりか、あまりに露骨に感じてしまい、誰もが相続の話をしづらくなってしまいます。相続の話は、『まだまだ先の話』と思っているうちにしておくべきなのです。
今年も残すところあと僅か。普段、親族皆が顔を合わせる機会は、そう多くはないはずです。今年の年末年始は、親族皆さんで相続について考えて話しあってみてはいかがでしょうか。それが、円満な相続の第1歩になるかもしれません。

目標型計画と予算型計画

今回は経営計画のうち数字面での考え方についてお伝えします。
皆さまが一般的に経営計画と呼ばれるものを立てる場合、その内実は大きく分けて二つの表現の仕方があります。一つは「目標」。もう一つは「予算」。
「目標」という表現については売上高や利益に使われるケースが多く、「予算」という表現については費用に使われるケースが多いと言えます。今回は話を分かりやすくするため、売上計画を目標と表現し、費用計画を予算と表現します。
皆さまの中にも、目標という表現はポジティブで、予算という表現はネガティブなイメージがあることでしょう。しかし、目標は期待に過ぎません。そして、期待は推測に過ぎません。つまり、目標は絶対のものではなく、あくまで方向付けだということです(byドラッカー)。
もちろん、目標は必要です。しかし、言い換えれば、期待を前提にした計画というものは危険だということを皆さまもお気付きのはず。過去にイケイケドンドンの経営計画を立てられ、実績との差に落胆された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これに対して、予算はどうでしょう。
予算に関しては、過去の実績をベースに必要と思われる数字を積み上げて決まるケースがほとんど。どの企業においても前年に比べて予算の削減はあまり行われず、現状維持か増加が基本です。これは国や地方公共団体の予算編成を見ていてもお分かりのとおり。
実際、計画で立てられた予算も、重要性が低いものを除いて実績が予算を下回るということはなく、予算どおり消化されるか、売上目標の達成のために予算オーバーが行われるということになります。
期待も何も関係なく、予算は“予定どおり”という表現がぴったりです。つまり、厳しい言い方をすれば、“努力を怠った”ということになります。
「予定どおりが、なぜ努力を怠ったことになる?」
そう思われる方も多いかもしれません。しかし、予算で計画を立てるのは費用です。少なければ少ないほど利益に回ります。期待ではありません。現実です。
例えば、当初、増員しなければ仕事が回らないと考えていたところ、既存スタッフの頑張りで増員をせずに仕事が回った。その分、予定していた人件費予算が余り、利益に回った。既存スタッフに還元することができる。
だから根性論で頑張れ、と言いたい訳ではありません。効率よく仕事が回る工夫を行うべきだということです。
つまり、予算どおりということは、自社の効率を上げる努力を怠ったということを客観的な数字で証明したということにつながるという見方ができます。現状維持や予算オーバーは、“誰でも”可能ですから。
予算を立てたら消化するのが当たり前。売上目標を下回っていたら予算増加が当たり前。これでは国や地方公共団体の予算と変わりません。これは、財政難で予算をカットすることとは違います。努力ではなく、そこで終わりというだけです。
企業活動は、予算を下回る努力をしてこそ、そして、予算どおりで目標を上回る努力をしてこそ利益が上がります。
この目標と予算の関係性こそ、経営計画の達成につながります。
しかし、現実は、予算は立てたら終わり。予算どおりであればOK。あとは目標(=期待)を達成するだけ。このような関係性につながりはなく、目標の達成にも根拠がないということが分かるはずです。つまり、計画の立て方が期待と予定で出来上がっています。
予算が与えられ、予定どおり消化していたら社員も怒られることがない。これでは効率も上がりませんし、コスト管理も上手くいきません。また、予算に依存することは、間違ったもの、古くなったもの、陳腐化したものの廃棄も難しくします(byドラッカー)。
そして、年々、予算が増加していき、数年後には複雑になり過ぎて手を付けることすら難しくなる…。
その悪循環が、期待をさらに高めざるを得なくなる…。
このような場合、経営計画の利益は、売上高の目標と費用の予算の差額から求められることになります。これは、目標とする利益が先にあり、費用の予算を積み上げて、結果として売上高の目標が求められる場合も同様です。
高い売上目標を立てる。これはOKです。しかし、投入する予算を使い、最大限の効果が上がるように努力するという意識が希薄であれば、目標など達成されません。
当初立てていた予算も、ムダだと判断した瞬間に切り捨てる。当初立てた予算を大幅に増加させることが更なる成果に結びつくのであれば躊躇なく追加投入する。社員には、常に予算を下回るよう努力を促す。さらに、労働時間を増やすことなく成果を上げられるよう改善策を検討させる。
極端な言い方をすると、経営計画など厳密である必要はありません。計画を立てた後のモニタリングによりコントロールすることが重要だからです。計画はあくまで最初の基本方針であり、いかに予定どおりに行かせないか、それを上回る成果を上げられるかということが求められます。
もし、これを行わずして目標を達成できたときは、“外部環境の要因が大きい”。そう考えておくのが無難です。
経営計画を立てることに意味はないとお考えの中小企業の経営者も多いのが現実ですが、このような考え方を前提にすると、予算を下回るような行動を取ることが、自社の改善活動を促すことにつながるということは理解していただければと考えます。
今まで一度も経営計画を立てたことがないのであれば、あるいはこのような考えで経営計画を立てたことがないのであれば、一度試してみてください。その効用に気付かれるかもしれません。