5年に一度の社員旅行でもNG?

福利厚生としての社員旅行。
単なるインセンティブであればボーナスでよいのですが、それとは少し違った意味合いを持っており、組織としての一体感や、その会社に勤務していることへの満足感を生むなどの効果も期待できます。
そのような意味合いから社員旅行を検討される方も多いと思われますが、税務上、福利厚生費として認められるためには、一定の要件を満たす必要があります。
要件を満たさない社員旅行を実施した場合には、“給与”として認定されますので、会社としては源泉徴収の必要が生じ、スタッフとしては所得になってしまいます。
もちろん、対象が役員であれば、役員賞与になってしまうため、注意が必要です。
(法人として経費にならない・・・)
その要件ですが、国税庁のHPで、次の通り明示されております。
(1)旅行の期間が4泊5日以内であること。
(2)旅行に参加した人数が、全体の人数の50%以上であること。
(工場や支店ごとに行う旅行は、職場ごとの人数の50%以上が参加)
(3) 自己都合により参加しなかった者に対して、金銭を支給しないこと。
(不参加者だけではなく、参加者も相当の額が給与課税されます。)
また、具体的に明示されていませんが、会社が負担する旅行費用は、一般的には一人当たり10万円が目安とされています。
この社員旅行について、平成22年に興味深い裁決が出されています。
土木建築業を営む法人が行った社員旅行の費用が一人当たり241,300円であったため、原処分庁はそれを一般的なレクリエーションから逸脱している(つまり、贅沢過ぎる!)として給与認定しました。
しかし法人サイドは、「今のご時世、毎年社員旅行に行く会社はない。当社も5年に一度の旅行なので、241,300円を5年で割れば、1年あたりは48,260円となり、常識的に考えても贅沢過ぎる旅行ではない。給与認定はおかしい。」と主張しました。
毎年、社員旅行に連れていけるほどの利益はない。
だからこそ、5年に一度とし、我慢した後には盛大に行う。
しかも1年あたりに割り直せばたかだか5万円弱。
しかし、国税不服審判所の判断は、「レクリエーションはあくまでもその行事ごとに判断すべきであって、単年度に引き直すなどの考慮をすべきではない。」として、課税サイドの主張を適法(つまり、法人の負け・・・)としました。
一見すると法人の主張にこそ一理ありそうですが、課税側の判断が覆ることはありませんでした・・・。
毎年、社員旅行を実施する事は我慢し、その分、数年に一度は豪華に!
そのような思考は自然のような気もしますが、今回の裁決等を参考に、十分に注意してください。