着々と準備が進んでいます・・・。
消費税の引き上げの前に、消費税の価格転嫁についての法案が国会に提出されました。
報道されているとおり、この法案の趣旨は主に小売業界が仕入先の中小企業に消費税分の値引きを押し付けないようするためのものです。
法案の柱は、「消費税還元セール」の宣伝禁止ですが、消費税増税分を次回以降の来店時の購入分に使えるポイントに還元することも認めないそうです。
小売業界としては、消費税の増税に伴う需要減少に対応するための起爆剤として「消費税還元セール」の準備を行うはずが先制攻撃を受けました。
消費税率が3%から5%に引き上げられたときは還元セールのオンパレードでしたから、小売業界は販売促進策の再検討が必要とのこと(業界関係者談)。
仮に「消費税還元セール」を行うとなると、5%から8%への増加分3%が値引きされるということになりますが(大盤振る舞いすれば、消費税率8%分)、日常的に行われているセールでの値引きとどれだけ差があるのか分かりません。
とはいえ、イメージは重要ですから、日常的に3%の値引きがなされていても、名目上「消費税還元」と変えるだけで購買意欲が上昇するのが消費者心理・・・。
また、「消費税還元セール」が仕入先への値引き圧力になるとはいえ、いつもどこかで見かける光景と構造は同じです。
「決算セールを行うから、今月は値引きで協力してくれないか?」
「お客様謝恩セールを行うから、安く卸してくれないか?」
というやり取りは、業者間では日常的のはず。
また、近年は「業績が厳しいので、単価の切り下げに応じてくれないか?」というのも増加しています。
ですから、いくら消費税還元だけを止めても、値引き圧力があまりにも日常的すぎて、意味がないのではないかとも考えます。
そして、これらはあくまで値下げを要求されるケース・・・。
では逆に、皆さんの会社が“自ら”値引きを行っているということはないでしょうか?
先日、私はあるwebサイトで税金関係の商品を購入しました。決済をしようとすると、ポイント表示がされて、その分値引きをしてくれるとのこと。
以前に別の商品を購入した際に付いた5%分のポイントのようです。
(おー、日常的な消費税還元ポイント!!)
その商品はそこの会社が製作した物なので代替品はなく、ましてや税理士事務所向けの専門商品です。値引きをしようがしまいが買う人は買う。
一般消費者であればラッキーと思うのかもしれませんが、経営サイドの視点で考えると、「・・・なぜ?」。
このように代替性のない商品・サービスを提供し、また、その会社を信頼して取引をしているのに、自主的に値引きをしたり、還元ポイントを付けたりするのが本当に必要なのかについては再検討する必要があります。
販売促進策としての値引きと、自主的に行う単なる値引きは明らかに違います。
また、職業柄、私は毎月お客様の会社で請求書(売上げも仕入れも経費も)に目を通しますが、よく『△値引き』の文字を見かけます。
値引きをされる方からすれば良いことですが、値引きの理由は一体何なのでしょうか?
お客様からの要求?
クレーム対応?
商慣習?
それとも、お客様が「高いと思うだろう・・・」と推測して、必要もないのに勝手に値引きをしている?
この最後の値引きは心理的なものですが、一番厄介なのは皆さんもお気付きのはず。
また、値引きとは逆の『値上げ』は、中小企業にとって重要な価格戦略です。例え1%でも値上げは検討すべきです。しかし、どうしても値上げができないという場合、「高いと思うだろう・・・」というイメージで行っている値引きをなくすだけでも、会社に残る利益は変わります。
端数を切る値引きも、積もり積もれば大きな金額になります。
当然、値引き以前に、自社しか提供できない商品やサービスを取り扱っているのにもかかわらず低価格で売るというのは論外です。
最後にもう一度・・・。
皆さんの会社は、日常的に『△値引き』を行っていませんか?
値引きをしていないと皆さんが思っていても、現場では行われているかもしれません。
それも勝手に・・・。