節税
という場合、皆さんがまず思い浮かべるのは、『How?』。
つまり「どのように節税を行うのか?」という「手段」です。
極端な話、「手段」さえ知っていれば節税は誰でもできます。わざわざ税理士に相談することでもありません。
役員報酬、保険、交際費、車 etc.
あり触れたものが並びます。
しかし、誰にでも思いつくものに本来の意味での節税効果はあるのでしょうか?
当然ながら、答えはNo
節税という言葉にクラッときてしまうため、思考マヒ状態のまま、フラフラと安易な手段の衝動買い・・・。
衝動買いのため、いつかは「しまったー!」と後悔します。
会社経営における重要な決定事項であれば、計画を立てた上で、手段の選択は最後の段階であるはず。
しかし、「節税」に関しては(重要な決定事項のはずですが)、入口の段階で「手段」に飛びついてしまう企業が非常に多いのです。
では、手段に飛びつかないためには、節税をどのように考えるのがよいのか?
実は非常にシンプルです。
英語では、5W1Hという問いかけがあるのは皆さんもご存じかと思います。
When(いつ)
Where(どこで)
Who(誰が)
What(何を)
Why(なぜ)
How(どのように)
この5W1Hの問いかけは、節税にもあてはまります。
When(いつの年度で節税をするのか?)
Which(どちらの法人で節税をするのか?)
Who(誰の所得で節税をするのか?)
What(何の所得区分で節税をするのか?)
Why(なぜ、節税をするのか?)
How(どの手段を使って節税をするのか?)
冒頭でもお伝えした通り、一般的な節税は、最後のHowがクローズアップされます。しかし、順番を見ても分かるようにHowの判断は最後です。
そもそも、節税が有効であるかどうかの検討もせずに、手段を決めるというのは無意味だということはご理解いただけるはず。
節税とは、利益が出たら行うものではなく、計画的にやるものです。
というよりも、計画的にやられていないものは、9割以上の確率で実際には税金は減っていません。
つまりはこういうことです。
■When(いつの年度で節税をするのか?)
→ 節税を行うのは節税効果を得られる年度のみです。従って、毎年絶対に実行しなければならない手段というのは、長期的な意味では節税効果が得られていない可能性が高いのです。
■Which(どちらの法人で節税をするのか?)
→ 法人が複数ある場合、一方が黒字で、一方が赤字というのは非常にもったいない状態です。利益操作はダメですが、両社の利益の規模感を近づけることです。つまり、二社でトータルの税金が少なくなるように事業を展開するのが理想です。
■Who(誰の所得で節税をするのか?)
→ 税率が高いのに、それでも特定の人の所得を高めますか?節税の基本は所得の分散です。財産が多額にあるのに、それでもその人の所得を高めますか?特定の人の財産を不必要に増やさないのも節税の一つです。
■What(何の所得区分で節税をするのか?)
→ 法人所得という区分だけでの節税効果はたかが知れています。個人所得、相続財産というように異なる税率が適用されるところにこそ節税効果は表れます。
■Why(なぜ、節税をするのか?)
→ 節税を行う意図は? 単に税金を減らしたいだけでは、キャッシュ残高が減るだけです。税金の減少が大事なのか、手元に残るキャッシュ残高が大事なのかはよく考える必要があります。
■How(どの手段を使って節税を行うのか?)
→ 上記さえ決まれば、本当に有効な節税手段など限られることが分かります。
誰でもできるものに節税効果はあるのか?ということに対して、Noとお伝えしましたが、本来のステップを踏んだ上での節税には効果がもたらされます。
それでもほとんどの場合、手段Hを用いる前の5Wの段階で、節税効果が得られてしまいます。
When→Which→Who→Whatを検討し、その上でWhyを考え、それでも必要ならばHowを用いる。
結局、有効な節税を行うための最大の手段は、節税計画です。
きちんと計画を立てておき、手段の衝動買いの誘惑に惑わされないようにする。
会社の経営計画とも連動していますが、利益を追求することと節税は裏返しの関係にもありますので、裏経営計画とでもいいましょうか。
節税を難しく考えず、手段の誘惑があった場合は、5W1Hの思考で検討してみましょう。一見効果がありそうなものでも、メッキがはがれること間違いなしです。