平成26年4月から8%へと上がる消費税ですが、増税前の駆け込みとして代表的なものが住宅の購入です。
(新政権によって、消費税増税自体が凍結される可能性もありますが・・・)
3,000万円の住宅を増税前に購入すれば、得する金額は90万円です。
(3,000万円×(8%-5%)=90万円)
ただ、果たしてそのような表層的な部分だけを見て、住宅のような大きな買い物をしてもいいのでしょうか?
住宅の特需が起これば、その分、反動もくるため、国土交通省は、“住宅ローン控除”の拡充を中心に税制改正の要望を上げ、増税前後での住宅購入の平準化を図ろうとしています。
また、何も税制のような難しい話をする必要もありません。
次の表は、東証の住宅価格指数です。
住宅価格が、踊り場から緩やかな下り坂へと転じたのは、消費税が3%から5%へと増税されたタイミングです。
「消費税が上がれば、住宅は今までの価格では売れなくなる。消費者のニーズに沿った価格まで値下げしよう・・・。」
市場のメカニズムはそのように働き、価格は適正値に収斂されていったのです。
平成26年の消費税率アップを例にすると、3,000万円の住宅が、2,917万円に値下がりすれば(2.77%の値下げ)、増税前も増税後も購入価格は変わらないことになります。
(3,000万円×1.05=3,150万円、2,917万円×1.08=3,150万円)
このような話は、世の中にいくらでもあります。
■消費税増税前に金(きん)を購入し、増税後に売却すれば、消費税率分儲かる?
(→増税後に売りが集中することで価格自体が下がり、税率分の売却益はなくなる)
■エコポイントが切れる前に液晶テレビを買った方がお得?
(→価格ドットコム等で値段推移を見れば、エコポイントが切れた後の値下がりは一目瞭然)
■車を購入するなら、エコカー補助金が締め切りになる前?
(→「エコカー補助金が切れても、当社はエコカー補助金分の値下げを保証します。」というメーカーが出てきたくらい・・・)
つまり、すべての価格は需要と供給の作用によって適正値へと向かっていくため、『お得』というものは基本的に存在しないのです。
人の採用に関してもそうです。
弊社代表の岡本は、著書『稼ぐ 超思考法』において次のように述べます。
『よく、「良い人材が集まらない」と嘆いている人がいますが、それは高い給料を出さないからです。 ~中略~ 人件費にも市場価格があり、その市場価格に合わせた人がいつでもどこにでも存在しているわけです。』
「すべてが適正な市場価格!」と盲信してしまっては詐欺にあいますが、目の前の90万円に飛びつくような経営も避けたいものです。