法案が通れば、赤字国債が発行できて、予算を執行できる
資金繰りという表現がぴったりの事態になりました・・・。
皆さんご存知のように、国の予算執行が遅れています。
赤字国債を発行できないため財源を確保できないからですが、如何に薄弱な根拠で日本という国家が運営されているということに改めて気づかされます。
企業で表現すれば、
前年並みであれば、金融機関から借金できて、社員に給料を払える
という根拠で経営を行っているのと同じです。
経営者であれば、想像しただけで気が滅入るのではないでしょうか。
しかし、このような根拠で経営されている中小企業は決して少なくありません・・・。
法案が通る見込みも、前年並みに推移する見込みも、誰も保証はしてくれません。
その保証がないにもかかわらず、希望的憶測で組織を運営する危険性は、規模が違っても国も企業も変わりありません。
執行できない予算など、画に描いた餅と一緒です。
皆さんの会社の予算は無事執行できていますでしょうか?
企業にも、“経営計画という名の”予算があります。
本来、経営計画とは数値計画や行動計画が統合されたものですが、中小企業の経営計画の現実は、実績に基づいた予測をベースにした費用計画に、前年並み+αの売上げ予測が合体したものです。
企業の財源は売上げですが、売上げが保障されている企業などほとんどありません。財源は保障されていないにもかかわらず、人件費や設備費を中心とした予算の執行は待ったなしです。
このように考えると、経営計画の根本的な問題は、予算の精度を上げることではなく、その裏付けとなる財源確保の精度をどのようにして上げていくかということになります。
しかし、経営計画を立てたことがある方であればお分かりになるかと思いますが、経営計画作成に掛ける時間のうち、その多くは予算の作成(費用の予測化)に充てられています。
財源たる売上の計画を立てようにも、内部要因たる仕組みや人の問題、外部要因たる景気やライバル企業の問題等、変動要因が大きすぎるために放置されるケースがほとんどです。
そして、「固定費がこれくらい発生するから、財源としてこのくらいの売上げが必要だ」、「当期はこのくらいの売上げだから、来期はこのくらいかな」、というような見込みで必要売上高が決められ、それがそのまま売上げ計画となっていきます。
つまり、根拠が薄弱な、財源確保の精度が低い経営計画の完成です。
「経営計画なんか立てたって、その通りなんかいきやしない!」
そうおっしゃる方は多いですが、それは財源確保の精度を上げる計画を立てていないからですよということになります。
国の財源は税収です。ですから、税収を上げるための施策を取ります。当然に増税という行動も取りますが、景気対策を行って企業や個人の所得が上がるようにもします。
まあ、国の財源確保の施策が上手くいっていないから、“法案が通ったら、赤字国債が発行できる”なんてことになってはいるので、日本も企業も予算の計画より、財源確保の精度向上のための計画が足りないという結論になります。
皆さんの会社のことを一番分かっているのは皆さん自身です。
どの業界にも、財源たる売上げにつながる先行指標があります。まず、その先行指標を増加させるための計画が必要です。そして、その先行指標から売上げにつなげるための計画が必要です。最後に実際に売上げる計画が必要です。
誤解を承知で単純化すれば、集客→プレゼン→契約あたりになるでしょうか。
何も特別難しいことではありません。普段実際に行われていることを、より計画的に行い、財源確保の精度を少しでも上げるということです。
一度立てた計画は修正できますが、計画が立てられていなければその場の対応で終始してしまいます。
ちなみに、中小企業金融円滑化法が来年3月で期限を迎えます。
企業の財源たる売上げがダメだったら、次の財源を金融機関に頼るというのも簡単にはいかなくなりますので、来年以降の経営計画はより精度を上げていく必要があります。
予算を執行するための財源がないという日本政府のようにならないために。
「財源を制する者は経営計画を制す!」