罰則が最も厳しいのは印紙税!?

大手スーパー「ダイエー」が大阪国税局の税務調査を受け、2011年9月までの3年間で印紙税約3千万円の納付漏れを指摘されていたことが分かりました。
みなさんご存じのように印紙税の納付は通常、作成した契約書、領収書等の課税文書に所定の額面の収入印紙を貼り付け、印章又は署名で消印することによって行います。
「ダイエー」が税務調査で指摘された印紙税の納付漏れは、各店舗で請け負っている自転車修理の契約金額が1万~100万円の場合などに必要な収入印紙を伝票に貼っていなかったり、売上代金が3万円以上だった場合に必要な、領収書への収入印紙を貼り忘れていたといったものです。
さて、この印紙税、課税文書の作成者が印紙の貼り忘れ等により、納付すべき印紙税を納付しなかった場合、どれだけの過怠税(つまり罰金ですね。)が課せられるかご存知でしょうか。これが、とても厳しいのです。
なんと、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、つまり当初に納付すべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されることになります。
具体的に説明しましょう。
例えば1千万円超、5千万円以下の請負に関する契約書を作成した場合には2万円の印紙税がかかります。
この印紙を貼り忘れた場合の過怠税は、納付しなかった印紙税の額2万円+その2倍に相当する金額2万円×2との合計額、6万円となります。
さあ、みなさん気が付いているでしょうか?
所得税や法人税の場合、税務調査で指摘を受けて修正や更生があった時は、本来納付すべき税額(本税)に加えて過少申告加算税等を納付することになります。
そうなんです、印紙税の場合は、本来納付すべき2万円を含む6万円全額が過怠税という扱いになるのです。
そしてこの過怠税、納付漏れ等による“罰金”ですので、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費には算入されません。
本来、損金にできる印紙税2万円の出費で済むはずが、納付漏れにより、その3倍の6万円の出費になり、あげく6万円全額が損金不算入となるのです。
ただし、調査を受ける前に、自主的に納付していなかったことを申し出たときは過怠税は1.1倍に軽減されます。
また、「貼り付けた」印紙を所定の方法によって消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されることになります。
さて、この印紙税ですが、やり方によっては簡単に節税ができる税金の1つでもあります。
印紙税は発行された文書にかかる税金です。つまり取引先との契約内容をデータ上だけで合意し、契約書を発行しなければ印紙は不要です。
また、契約書をただコピーしただけのものは契約書に該当しませんので、契約書を1部作成し、そちらに印紙を貼って、そのコピーを控えとすれば印紙代は半分で済みます。
みなさんよくご存じのとおり、3万円未満の領収書に関して印紙税は非課税です。
領収書を受け取る側の了承を得られれば、1枚の領収書が3万円未満になるように複数に分けることにより節税することも可能です。
これらは、いずれもかなり地味な節税方法ですが、ちりも積もれば山となります。
最後に実務では、自社で作成・発行した文書が課税文書に該当するか否か、また課税文書に該当する場合、いくらの印紙が必要となるか、判断に迷う場合が多々あります。
その場合には事前に顧問税理士の先生、若しくは直接税務署に電話して確認しましょう。
くれぐれも勘違いによる印紙の貼付漏れによって、損金にならない3倍の過怠税を徴収されることのないようにしましょう。