移動年計の効用

先般、お客様から、既存客数や既存客売上高が
低下しているという相談がありました。
そして、過去3年間の既存客数などの統計を頂きました。
確かに、頂いた数値を検証していると、
数値は低下傾向にあるように思えましたが、
私は、移動年計のグラフを項目ごとに作るようにお願いしました。
移動年計については、過去の私の本で説明していますし、
今度ダイヤモンド社から出版される本でも詳しく解説をしていますので参照いただければと思いますが、
簡単に言ってしまうと、
毎日または毎月、1年間の売上げや顧客数を見ていく方法です。
たとえば、
2010年11月の数値を見るとすると
一般的には、11月単月の数値や期首から11月までの累計の数値を計測するのが一般的です。
移動年計では、「年計」というように、
2009年12月から2010年11月の合計の数値を見ていきます。
つまり、決算書の売上高の数値を毎月見ていくわけです。
こうすると、季節要因などが排除できて、
長期的な傾向が見えてきます。
また、2年合計を半分に割って、
1年合計と比較することで、
短期、長期の傾向値比較も可能です。
毎月、1年間の合計を集計していくということは、
それほど数値に大きな変動がないように
思うかもしれませんが、
実際は、かなり大きく揺れるのが一般的です。
つまり、その「揺れ」が
分析に値する事象です。
相談いただいた方の年計グラフを見ていても、
グラフが低下トレンドになる時と
上昇トレンドになる時が
明確に分かれていました。
毎月の一年計を出しているだけなのですが、
こうした傾向が現れるのが中小企業です。
つまり、
企業のちょっとした動きの違いが
敏感に繁栄されているのです。
そして、
それぞれのトレンドについて
その時何があったかを追いかけていきます。
こうすることで、
意外な発見があります。
ぜひとも試してみてください。
2010年も、もう少しで終わります。
小売業の方々は、これからクリスマス、年末商戦。
特に、インターネットでは、
年々、クリスマス商戦が盛り上がっていますので、
息の抜けないところです。
小売業や飲食業以外の方々は、
そろそろ来年の戦術などの整理の時期だと思いますので、
年末にでも、年計分析を実行してみてください。
もちろん、年末が忙しい小売業などの方々は、
商戦が終わった以後にぜひとも実行してみてください。