—- 今回は、単なるグチです。すいません。 —–
2004年にベストセラーになった
『裏帳簿のススメ』が内容を一部代えて
題名も新たに新書版で再版されることになりました。
(発売は5月17日です)。
そこで、今回、2004年版の原稿をチェックしました。
そして、2004年時から、
社会保険料がどれだけ増えたかを見てかなり驚きました。
元原稿では、
役員報酬が1800万円を例にして、
社会保険料の計算を当時の料率で
行っています。
ちなみに、
2004年では、
その金額が、98万円でした。
したがって、
会社負担と個人負担の合計で、196万円です。
これを現在の料率で計算すると、
137万円。
会社負担と個人負担の合計では、274万円。
6年で、合計78万円もの差額です。
この差額だと、
5年で390万円、
10年ならば780万円です。
もちろん、支払った社会保険料は、
会社は経費になり、個人は所得控除がありますから、
その分、税金が減ります。
ですから、単純に、この金額が差額にはなりませんが、
それにしても、凄い金額です。
まだ金貨が使われていた時代、
一部の人々は、その金貨を、気づかれないように少しずつ削って
富を蓄えましたが、
国のやることは、昔のインチキをやる人よりも露骨です。
誰もが負担額が増えていることは知っているはずです。
しかし、これだけ負担額が増えていることには、
果たして気づいているでしょうか?
現在、日本では、上位10%くらいの人たちが、
所得税全額の80%くらいを負担していますが、
そんなことはおかまいなしに、
この10%の人々(所得1000万円以上)の
所得税の税額を上げようという方向にもあります。
日本の国民負担は、
他国よりも低いとアナウンスされていますが、
そもそも1億人以上の人口の国が、
北欧と何でもかんでも比べることも、
同じ事もできないという事実は無視して、
単純に国民負担率だけで、“日本は低い”と
結論ずける姿勢には、
非常に憤りを感じます。
国は、行き過ぎた広告表現について、
自主規制や行政指導をしながら、
自分達は、それよりもひどいことを
やっていると言ってもよいでしょう。
しかし、それは置いておいて。
国が落ちていく・・というのは、
きっとこういうことなのでしょう。
落ちていく国は、
結局、私たちが支えるしかありません。
明治以後の日本が
戦争をするときも、
国民に負担を強いてきました。
今も同様なのでしょう。
ただし、
戦争は、善し悪しは別として、
当初は、ビジョンが明確にありました(日中戦争以後は別です)。
しかし、今は、何のビジョンもなしに
支払だけさせられているのですからたまりません。
グチになってきましたので、
こんなところにしておきますが、
負担額がどれだけで増えているかを
ちゃんと理解しておきましょう。
月: 2013年1月
新自由主義と言われて・・
世界中の経済学の主流は、
ここ数十年、新自由主義が支配してきました。
レーガン大統領、サッチャー首相の経済政策から
具体的な運用がはじまった新自由主義の経済政策は、
批判も多くありました。
数々の批判の中で、
最も説得力があったのは、
南米の経済政策の崩壊でした。
新自由主義の主導者であったミルトン・フリードマン自身も
チリのピノチェト軍事政権の経済政策に関与しました。
日本の直接税の税率が、下がっていったのも
こうした新自由主義の流行と期を逸にします。
所得税・住民税の最高税率で見ると、
1974年から83年までは、93%(課税所得8000万円以上)
1986年までは、 88%( 〃 8000万円以上)
1987年までは、 78%( 〃 5000万円以上)
1988年までは、 76%( 〃 5000万円以上)
1994年までは、 65%( 〃 2000万円以上)
1998年までは、 65%( 〃 3000万円以上)
1999年~ 50%( 〃 1800万円以上)
細かく見ていただく必要はないでしょう。
1983年には、課税所得が8000万円を超えれば、
住民税も含めると 93%も取られていた直接税が、
今では、50%で済んでいるというわけです。
同時に、累進税率の税の刻みも、
1983年までは19段階もあったものが、
今は、6段階です(一時は4段階でした)。
個人的には、こうして税率の刻みを少なくし、
最高税率を低くしてきたことは、
良い政策だったと考えています。
経済がいつまでも成長を続けることが約束されているならばまだしも、
低成長経済下では、内部留保も簡単ではありません。
こうして、税率を下げてきたのは当然のことだと思います。
しかし、これから、こうした経過で税率が下がってきたことが、
問題になるかもしれません。
それも、新自由主義批判と同じ皿の上に乗せられての批判。そういうことも予測されます。
今回の税制改正大綱を見ていると、
国税庁自体が、それを期待している・・感じもします。
(いつものように、マスコミ操作でそういう議論を始める?)
私たちは、漫然と、いつも「税金は高い」と考えがちですが、
そうではありません。
この25年間、特に、この10年間は、中小企業経営者が稼いだお金を
しっかりと確保することができる良い時代でした。
もちろん、成長経済ではありませんから、
稼ぐこと自体大変ではありましたが、
税制は追い風でした。
しかし、そうした時代は終わろうとしています。
すでに、ここ3年は、一人オーナ会社税制という「悪税」がありましたが、
今度は、根本的な改正が待っています。
今年は、いったん、一人オーナー会社税制が廃止されました。
ですから、今年は私たちに税制がほほ笑んでくれているラストリゾートになるかも
しれません。
よき時代はあとちょっとで終わる可能性が高い・・と考えて、
内部留保に努めましょう。
会計という単純作業
有料メールマガジン『週刊 岡本吏郎』の原稿に、
ウィリアム・ジェームズの言葉を引用した(配信はこれから)。
引用した文章の一部を・・。
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毎日、ほんの少し、無益なエクササイズをすることで、
自分のなかの努力家の部分を眠らさないようにしておきなさい。
すなわち、不必要な小さなことにおいてながら、
体系的に英雄的でありなさい。
毎日、あるいは、一日おきに、特に意味のない、
やるのが困難だと思うだけの課題を実行しなさい。
そうすれば、緊急事態が近づいたとき、気力を失ったり、
訓練不足で慌てたりせずに、試練に耐えることができます。
保険料を払うのは気分の良いものではないし、
何の役にも立たないかもしれません。
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「会計」というと、
なんやら難しいことのように感じる人も
いるけれど、
要は、
単純作業の繰り返しを土台に成り立っている。
昔のように、
伝票や元帳の記入は必要なくなり、
その作業は、ずいぶん軽減されたけれど、
細かな単調な作業がなくなることは絶対にない。
そして、
まったく意味があるんだか
ないのだかわからない積み重ねの
先に、経営を語るいろんな世界がある。
はっきりしていることは、
この単純な作業を
適当にやっていると、
どんなに立派なことを
言っていてもお寒いことになることである。
しかし、
それは会計だけのことではない。
実は、
会計が・・ではなく、
単純作業が・・なのだ。
ウィリアム・ジェームズの言葉がそれを表している。
人が農業を始めた時重要になったのが、
識字力と計算力というスキル。
その後、
産業革命で、これに忍耐力が加わった。
その状況は、
今になっても何も変わらない。
今も必要なモノは
この3つ。
成功法則は必要ない。
世の中は、
ますます不況色を強めていくと思われる。
そして、
この3原則はますます光を放つ。
今ほど、
基礎能力が試されている時代はない。
会計はその一つである。
過去に、
円が360円の時、
沖縄だけは、120B円だった(“B”と入っているのは間違いではありません)。
沖縄の多くの企業は、
超円高の為替政策で潰れていった。
しかし、
潰れたのは全ての企業ではない。
生き残ったところはある。
そして、
その差は、会計という単純作業にあった
ことがわかっている。
当たり前の話だけれど、
この当たり前を強調しておきたい・・。