世界中の経済学の主流は、
ここ数十年、新自由主義が支配してきました。
レーガン大統領、サッチャー首相の経済政策から
具体的な運用がはじまった新自由主義の経済政策は、
批判も多くありました。
数々の批判の中で、
最も説得力があったのは、
南米の経済政策の崩壊でした。
新自由主義の主導者であったミルトン・フリードマン自身も
チリのピノチェト軍事政権の経済政策に関与しました。
日本の直接税の税率が、下がっていったのも
こうした新自由主義の流行と期を逸にします。
所得税・住民税の最高税率で見ると、
1974年から83年までは、93%(課税所得8000万円以上)
1986年までは、 88%( 〃 8000万円以上)
1987年までは、 78%( 〃 5000万円以上)
1988年までは、 76%( 〃 5000万円以上)
1994年までは、 65%( 〃 2000万円以上)
1998年までは、 65%( 〃 3000万円以上)
1999年~ 50%( 〃 1800万円以上)
細かく見ていただく必要はないでしょう。
1983年には、課税所得が8000万円を超えれば、
住民税も含めると 93%も取られていた直接税が、
今では、50%で済んでいるというわけです。
同時に、累進税率の税の刻みも、
1983年までは19段階もあったものが、
今は、6段階です(一時は4段階でした)。
個人的には、こうして税率の刻みを少なくし、
最高税率を低くしてきたことは、
良い政策だったと考えています。
経済がいつまでも成長を続けることが約束されているならばまだしも、
低成長経済下では、内部留保も簡単ではありません。
こうして、税率を下げてきたのは当然のことだと思います。
しかし、これから、こうした経過で税率が下がってきたことが、
問題になるかもしれません。
それも、新自由主義批判と同じ皿の上に乗せられての批判。そういうことも予測されます。
今回の税制改正大綱を見ていると、
国税庁自体が、それを期待している・・感じもします。
(いつものように、マスコミ操作でそういう議論を始める?)
私たちは、漫然と、いつも「税金は高い」と考えがちですが、
そうではありません。
この25年間、特に、この10年間は、中小企業経営者が稼いだお金を
しっかりと確保することができる良い時代でした。
もちろん、成長経済ではありませんから、
稼ぐこと自体大変ではありましたが、
税制は追い風でした。
しかし、そうした時代は終わろうとしています。
すでに、ここ3年は、一人オーナ会社税制という「悪税」がありましたが、
今度は、根本的な改正が待っています。
今年は、いったん、一人オーナー会社税制が廃止されました。
ですから、今年は私たちに税制がほほ笑んでくれているラストリゾートになるかも
しれません。
よき時代はあとちょっとで終わる可能性が高い・・と考えて、
内部留保に努めましょう。