「落語家の林家正蔵さんが東京国税局の税務調査を受け、3年間で1億2000万円の申告もれを指摘されていたことが明らかになった。重加算税を含め約4500万円を追徴課税された。」
このように、企業や有名人の税務調査での多額の申告もれが、よく新聞等で取り上げられています。
皆さんは、不思議だと思いませんか?
いつも新聞報道等されているので、当たり前のことと思っているかも知れませんが、実は、問題なのです。
国税当局には、守秘義務があります。そして、この守秘義務が担保となって税務調査があるわけです。
そして、税務調査で帳簿やいろいろな書類等を調べることが出来るのです。
調査官も調査時には、「我々は、守秘義務があり絶対に外に情報がもれることはありません」と説明しています。
脱税事件で裁判となったり、国税当局の処分が不服で裁判を行っている場合であれば、新聞報道もわかりますが、普通の税務調査で申告もれの場合はわからないはず。
なのに有名人が申告もれを指摘されたというような報道がされています。
情報がもれているとしか考えられません。
マスコミは、独自の調査ということになっていますが・・・・・。
税務署や国税局では、税務調査の状況の記者会見を行っています。
その際には、多額の申告もれがあった事案や、珍しい事案などを発表しています。
会社名や個人の氏名は発表していませんが、業種や調査の内容等は発表していますので、その辺から記者が情報収集して報道しているのとも考えます。
記者が、企業等を取材して確認しているということもありますが、それにしても、内容が詳細であり、不思議でたまりません。
取材で報道される企業等が詳しく教えるとも思えません。
平成18年度の税制改正で「長者番付」と言われる公示制度が廃止になりました。
廃止前は、確定申告で個人であれば所得税の税額が1,000万円超、会社であれば法人税の所得金額が4,000万円超の場合は税務署の掲示版に氏名や会社名、住所、税額や所得金額が貼り出されていました。
税務調査により、修正申告を行った場合も同じで、例えば3年分を修正申告して、3年分とも公示の基準金額に達していれば、3年分同時に公示されていましたので、税務調査があった事がすぐにわかりました。
企業の中には、税務調査で修正事項を指摘されても、自分から修正申告はせず、税務署や国税局から更正処分を受ける会社もありました。
税務署からの更正処分の場合には、公示の対象にならないからです。
また、公示されないために、利益調整をして所得金額を4,000万円以下にしていた会社もありましたので、公示制度が廃止になったのは、個人同様、企業にとっても負担がなくなりました。
しかし、公示制度があった時には、ある程度わかったかも知れませんが、現在も通常の税務調査での申告もれがマスコミで報道されています。
相手先を取材して確認を取っているとのことですが、マスコミの情報収集がすごいといっても国税当局が情報をもらさなければわからないはず?
こんな話もあります。
記者が国税局の担当官に最近の調査状況を聞きにいきます。担当官は、直接は調査先の名前は言いませんが、記者の質問になんらかの反応をしているとの事。
また、記者会見の時等に実名の資料も置いておき、勝手に見られたようにしている。
定かではありませんが、このように国税当局がリークしなければ実名や詳しい内容などわかりません。
課税当局も報道により波及効果をねらっていると考えますが、リークしているとすれば、それこそ「守秘義務」違反になります。
申告もれが報道されれば、会社のイメージダウンにもなりますので、脱税等はやらないようにしなければなりませんが、それにしても、有名人や企業の申告もれの情報がマスコミ各社一斉に報道されるのも不思議です。