売上げは“不確実なもの”です。
当然ながら約束されたものではありません。
マーケティング費用を高めても、売上げが必ず上がるわけではありません。
不況期に入ってから反応が悪くなり、反応が良いとしても売上げにつながるまでの時間が伸びています。
それでも、マーケティング費用を減少させてはいけません。
負のスパイラルに陥ってしまいます。
とはいえ、有効な打ち手もないまま、どの企業も頭を悩ませているのが現状・・・。
ここで、使い古されていますがアンゾフの商品/市場マトリクスで整理してみます。
まず、Dは中小企業が簡単に手を出せる領域ではありません。
Cは商品開発力がある企業のみ実行可能です。
開発力は、中小企業にとって検討していくべき重要な課題ですが、極めて脆弱な企業がほとんどというのが実態です。
そして、Aで限界を感じているほとんどの中小企業が、消去法的にBを検討します。
つまり、どの企業でも真っ先に考えるのが、エリア拡大。
エリアを拡大すれば、確かに売上げは増加します。
しかし、固定費や投下資金も同時に増加します。
失敗した場合の撤退コストも高くつき、致命傷につながる事も数多い・・・。
ここで考慮すべき点が一つ。
自社が他のエリアに進出しようと考えているのと同じように、他社も自社の現エリアに進出しようと考えています。
エリア拡大に注力している間に、お膝元を荒らされたらどうでしょう。
想像は難しくないはず・・・。
さらに、もう一つお伝えしておきます。
当社は、税理士事業及びコンサルティング事業を通じて、様々な地域の様々なお客様の財務データを目の当たりにしています。
その中には、いわゆる地域一番店のお客様も数多くいらっしゃいます。
そして、地域一番店と他の企業では、その財務力に“圧倒的な差”がある事を「実際の財務データ」として把握しています。
“本当に”圧倒的な差です。
このような圧倒的な財務力を持つ地域一番店が、その地域から上がる収益を原資に他のエリアに進出を図るのは当然です。
ある意味、お金が余っているのですから。
しかも、このような企業は余力があるので、長期戦が可能です。
考えただけでも恐ろしい・・・。
はっきり言って、Aで成功できない企業にBなどやり切れません。
新エリアのシェアを獲っても、現エリアのシェアを落とし、利益が出るどころか、損失の方が大きいというのが落ちです。
Bで成功している企業は、Aを制した企業が大多数です。
現在、多くの企業は売上げが減少しています。
どの企業も困っています。
しかし、目の前にあるライバル企業に“売上げは眠っています”。
実際のシェアが見える所にあります。
今までは、マーケティングで“結果として”シェアを獲っていたのかもしれません。
ただ、マーケティングだけでは、地域一番店にはなれません。
実際、地域一番店が圧倒的にマーケティングに長けているとは限らないからです。
必要なのは、圧倒的な地域一番店としてのシェアを獲るための戦略を実行する事です。
エリア拡大戦略により、不確実性の高い売上げを、不確実なエリアで求めるのはリスクが高い選択なのです。
今のエリアで地域シェアを確保する事が、売上げの不確実性を下げる事につながります。
結局、現エリア重視という原点回帰の戦略ですが、あらためてライバル企業にやられたときの恐ろしさと言ったら・・・。
説明する必要すらないはずです。