すごく不思議に感じませんでしたか?
日本企業の象徴たるトヨタが、大赤字になるという事に・・・。
前年2008年3月期は、過去最高の売上高及び利益を達成していました。
今年はというと、2009年3月期の予想連結売上高21兆円、営業利益△4,500億円(2月6日発表資料)。
同じく連結売上高21兆円だった2006年3月期、その営業利益は1兆8千億円です。
この差は、一体何を意味するのでしょうか?
日本企業の業績悪化後、その対策の第一弾という感じで話題となった派遣切り。
皆さんもご存じのように、固定費的性質の人件費を変動費化した仕組みの代表が、派遣労働です。
物が売れないなら、作る必要がない。
作る必要がないなら、材料はいらない。
だから、材料と同じ変動費である人件費はいらない・・・。
企業は、規模の拡大に伴い増大する固定費を極力抑えるため、このような仕組みを導入してきました。
グーグルやアップルのように、革新的技術や製品の投入で飛躍する企業は極少数です。
通常は、固定費にレバレッジをかけるしかありません。
そして、規模を求めないと利益が出ない収益構造になっていく・・・。
トヨタの場合、為替変動が業績に大きく影響を与えましたが、それ以外は明らかに規模の拡大に応じた固定費の増大が要因です。
とはいえ、固定費の投入に躊躇して、ライバル会社に先行されたら後の祭り・・・。
そのシェアを奪うのは非常に困難です。
トヨタだけではなく、大企業のほぼ全てがそのジレンマに陥ります。
固定費にレバレッジをかける戦略は、最もオーソドックスな手法である事は確かです。
ですが、今日のような経済状態になると、その固定費が逆レバレッジとなり、リスクが跳ね上がります。
そのリスクを許容出来る大企業ならともかく、ハイリスクな戦略に耐える事が難しい中小企業は、可能な限り避けて通るべきです。
極端な話、頭を使うというよりもお金で解決する手法です。
さらに、景気に左右される事が非常に多い。
ですから、この戦略は、中小企業にとってオーソドックスなものではありません。
中小企業の大原則は、固定費を上げずに売上高の増加を模索する事です。
まずは、今の固定費のままで売上高が上がる戦略を考える。
可能であれば、固定費を下げても売上高を上げる事が出来る戦略を考える。
実際、当社も固定費を上げずに売上高を上げる打ち手を実行中です。
これがどんなに大変かと言ったら、言葉では上手く伝えられません(苦笑)
頭と肉体を酷使して実現させようというのですから・・・。
しかし、パートナーを組んでいる企業の方がもっと大変なので、我々も自らの肉体でレバレッジをかけようかと(笑)
そして、その戦略で売上高が上がったら、その負荷に耐えられるように、後追いで固定費を上げる。
中には、固定費の増加を極力避ける戦略に、消極性を感じる方もいらっしゃるでしょう。
また、売上高が上がった後に固定費を上げるのでは、業務オペレーションが回らないのではないかと考える方もいらっしゃるはずです。
ですが、急激な成長がもたらすリスクを考えると、ほどほどに、しかし継続的に成長する事が、中小企業の追及するスタイルではないかと考えます。
小さくしながら大きくする。
中小企業にはこれしかありません。
大きい事が良い事ならば、上場企業がバタバタ倒産する訳がないのですから。