先日、またまた妻と映画を見に行きました。
今度は『容疑者Xの献身』
どうやら妻は福山雅治のファンでもあるらしい・・・
さて、前回はわれわれ中小企業の経営に潜む、少数株主の脅威についてお話いたしました。
その上で、株式は『分散から集中』へと変わるべきだと言わせていただきました。
そこで、いったん分散させてしまった株式を集めるために用いることができる株式が『全部取得条項付種類株式』という種類株式です。
今回は、この種類株式を使って分散した株式をすべて買い取る方法の概要をご紹介します。
全部取得条項付種類株式とは、少なくとも2種類以上の株式を発行している株式会社で、ある種類の株式の全部を会社が取得することについて定款でさだめている株式です。
そのため、まず、前提として一種類しか株式を発行していない会社の場合には、普通株式以外にもう一種類の株式を発行する必要があります。
ここでは説明上、もう一種類の株式をX株式と呼ぶことにします。
株主総会によってX株式を発行する決議を行うと同時に、既存株式について全部取得条項を付します。ただし、このときに反対する株主から株式買取請求がされる可能性がありますので、慎重に進める必要があります。
無事に、旧株式について全部取得条項を付すことができたら次は、X株式の発行を行います。このときにオーナーが全ての割当てを受けることによって経営権の集約をすることができますが、勘のいい株主によって否決される可能性がありますので、発行の経緯などやはり慎重な対応が必要です。
X株式の発行が完了すれば、あとは旧株式を会社で全部取得することによって計画完了です。
自己株式には議決権はありませんので、旧株式は急いで買い取る必要はありません。そのまま会社で持っていてもいいですし、消してしまっても構いません。
説明上、とても簡単に書きましたが実際には株式買取請求時の対応や対価の額など一定の手続きと税務リスクの検討必要となりますので、専門家のアドバイスのもとで行うようにしてください。
冒頭に書いた映画『容疑者Xの献身』ですが・・・堤さんと松雪さんの演技にやられました。はっきり言って泣きました。
松雪さんの役者としての引き出しの多さには驚きます。
いろいろと考えるところはありますが、人は生きる意味を見つけたときに生きていることを実感するものだということを改めて思いました。
『もの言う株主』という言葉が少し前に流行りましたが、中小企業における株主とは自己の利益にのみ囚われることなく、会社の永続発展のために・・・
それこそ『献身的』に尽くすくらいの気構えがいて欲しいと思います。