大奥に見る現代の経営

妻 「映画観に行かない?」
妻から誘われた・・・何かおかしい。
きっと何か裏があるに違いない・・・きっとそうだ。
私 「何観るの?」
妻 「デトロイト・メタル・シティ」
私 「・・・」
最近、事業承継について考えさせられる出来事がありました。
一言で説明すると、兄弟喧嘩。
ところが兄弟喧嘩も事業承継が絡むと非常に厄介な問題になります。
日本の中小企業はピーク時には540万社ほどあったらしいが現在では100万社の減少となっている。この背景には倒産、合併、買収などの他に中小企業ならではの問題があるようです。
それが『後継者不在』という現実。
また、その一方で後継者はいるものの同族会社ならではの問題も出てきています。
日本の中小企業の9割以上が同族会社。ワンマン経営でやってきた同族会社の後継者と言えば社長の息子と相場は決まっています。
創業者である社長は苦労して大きくしてきた会社を息子に継がせたいと思うのは“親心”として当たり前。
その場合、兄が社長、弟が専務というように一緒に会社に入ることが昔から数多く行われてきました。
兄弟は幼少の頃より起居を共にしており、遠慮のない口喧嘩を繰り返しながら成長を遂げてきて、兄弟という“私”の部分が、会社の公的部分にまで影響してしまいます。
例えば経営会議や取締役会における討議の場にしても、兄弟の気易さが表面化し、他の従業員に対しては絶対に口にしないような露骨な表現を用いてしまい、それが感情的議論へつながり、気まずいしこりを残すことになるのです。
弟である専務からみれば、少々社長に反抗しても自分の地位は安泰だという甘えがあるでしょうし、社長である兄にしてみれば、まさにその甘えが我慢のならない図々しさとなって反映します。
そして、さらに問題を複雑にする出来事が起こります。それは兄である社長の息子の登場です。
これがまさに大奥の世界。
喧嘩もしながらそれでも何とか二人で大きくしてきた会社に、ある日突然経営に顔を突っ込んでくる社長の息子に専務は苛立ちがつのります。
そして、その苛立ちはあるキーワードによって爆発するのです。
それが二代目経営者が口にする『経営改革』という大義名分。
景気後退、業績低迷の中にあって、従来どおりの経営を続けていては会社は倒産してしまうと息子は親父に訴えます。
その話を息子から聞かされた社長は、以前から事あるごとに衝突してきた弟に、この時とばかりに詰め寄るのです。これによって身内間の紛争がはじまります。
本来,些細とも思える原因によって身内間の紛争が生じ、それが急速に拡大して、やめろやめないにまで至ります。同族会社においていったん紛争が発生すると、途中で和解できる例は少なく、最終的には一方が会社を退くことになってしまいます。
そこで、今度問題となってくるのが自社株の存在。
今までは市場に流通しない株など紙切れ同然でしたが、事業承継問題に絡んで、その存在は重要となってきます。
次回からは同族会社をとりまく自社株の取り扱いと事業承継問題について話をいたします。
・・・どうやら妻は松山ケンイチのファンになったらしい。
で、映画はどうだったかと言うとこれが尾を引く面白さ。
そのときはそうでもなかったんですが、今になってじわじわと面白さが込み上げてきた。
映画では、松山ケンイチ演じる「ねぎっちょ」が夢と現実の狭間で悪戦苦闘する中であることに気づく。
「僕にしか見せられない夢がある!」
会社でも同じだと私は思うのです。
その人にしかできない役割がある。みんなそれぞれ欠点もあって、でも、それぞれが補い合ってひとつの会社になっている。
それを肝に銘じ、私たちはみんなでひとつの夢を追いかけることができる、そんな素敵な会社をつくって行きたいものです。