いきなり、シリアスな出だしです(苦笑)
ニュースでは定期的に見聞きしますよね。
最近も、6億円の横領事件が話題となっています。
とはいえ、報道される横領など、氷山の一角の、更にごく一部・・・。
なぜなら、報道されるのは、企業側が発表せざるを得ないケースだから。
やはり対外的なイメージの悪化は避けられないので、普通は隠したい事実です。
例え報道されなくても、中小企業レベルでさえ、情報はどこからか漏れ伝わります。
そして、警察に訴え出ても、常に刑事事件になるとは限りません。
警察は、余程の事がない限り、動いてくれないからです。
また、諸事情により、警察にも相談できずに泣き寝入りするケースもあります。
ですから、被害に合われた企業は、その額に関わらず、悔しい想いをされた事でしょう。
特に、中小企業は内部統制制度がしっかり整備されていないため、横領の事実が発覚しても、その根拠となる物的証拠が残っていないのです。
基本的には、その担当者に任せ切りになっていますので。
実際、社内に明確かつ直接的な証拠が残っていない限り、裏取りが出来るのは、個人の金融機関の入金記録くらい。
とはいえ、金融機関の記録を調査出来るのは、警察や税務署です。
ということは、警察が動かない限りは調べられないですし、警察に動いてもらうためには証拠が必要。
そして、警察を動かすほどの肝心な証拠はない・・・。
ぐるぐる、ぐるぐる・・・袋小路状態。
更に言えば、横領される方は、現金で持っているケースも多いのです。
そもそもお金がないから横領する訳で、発覚する頃には使い切っています。
従って、例え刑事事件になったとしても、お金を取り返す事も困難・・・。
ですから、横領は、“発覚してしまった時点でアウト!”
事後では、どうにもなりません。
どちらかというと、横領した社員にケジメをつけさせるため、及び、今後の社内体制の再構築のきっかけとして、事後処理が行われます。
結局、横領は発生する前の時点、つまりは、横領防止のための仕組みが構築されているか否かで勝負は決まっているのです。
私の今までの経験からすると、経営者のほとんどは性善説に立っています。
出発点は社員を信じること。
従って、社員を信じていないと想像させるような仕組みを取り入れている中小企業は少ないのが現実です。
「うちの社長は、私たち社員の事を信じているはずがない!」
そう考える社員の方もいらっしゃるかもしれません(苦笑)
ですが、経営者の普段の言動が全てではありません。
「うちの社員に限って・・・」
これが経営者の本音です。
特に、中小企業の経営者にとって、社員は身内も同然。
社員を信じなければ、何も始まりません。
だからこそ、何かが起こった時は苦しむのです。
横領防止の対策としては、最低限、内部牽制の仕組みを取り入れる事が重要です。
内部牽制の導入と税理士による二重チェックで、横領の防止と横領発生後の早期発見を図る体制作りが基本です。
あれだけ騒いだJ-SOX法までは必要ありませんので(苦笑)
信頼出来るとはいえ、担当者一人に任せるというのは、本人にとっても責任が重く、辛いもの。
経営者側は、社員を信じていないからという事ではなく、社員に誤った判断をさせないために、横領防止の対策を導入するという思考の切り替えが必要です。
社員側も、自分達を信じているかどうかではなく、自分達や会社にとって本当に必要な事という視点で、積極的に協力してあげて下さいね。
身近で横領が発生するというのは、何かと傷跡を残しますので。