中小企業の利益構造

中小企業の利益の源泉は3つです(財務モデル)。
・売上高成長率
・利益率改善
・M&A
これは大企業も同様ですが、大企業ではこの3つにEPSベースで自社株購入を加えることができるかもしれません。
この3つを並べて見ると、どれも当たり前のことであり、どの企業経営者もM&A以外は、日々改善に努めていることと思います・・・・・・。
しかし、「・・・・・・・」と書きました。
理屈ではわかっていることですが、本当にすべての中小企業経営者が、常に3つの利益の源泉を考えているでしょうか?
この間、3年ほどで売上げを2億円から10億円に増加させた経営者から相談がありました。
この春から売上げが急減しているというのです。
私は、2年前から今年のような状況が来ることを口を酸っぱくして言っていた男ですが、実際に2008年を迎えてみると、業種ごとに時期に差はありますが、今までのトレンドに変化が起きてきていることを感じる方が増えています(実際には、昨年夏以降から痛感している方もいらっしゃいます)。
私の予測では、このトレンド変化はまだ前哨戦で、ある時期から第二段階にはいると思います。また、時期もいつぐらいになるかは予測がついています。
いずれにしても、次のさらに大きなトレンド変化までにはいろいろな準備が必要です。
そこで、私が相談者に言ったことが、冒頭に上げた基本です。
この相談者は売上高成長率を最も重要な指標としてここ数年を過ごしてきました。
私たちも側面からサポートさせていただき、順調に売上げが推移してきました。
ご本人は気づいていないようですが、この会社は利益率向上のための打ち手を十分打っていたのです。そこで今回、それを理解いただくときが来たと思いました。
早速、私は、売上高以外の指標の提出を頼みました。
もちろん、利益率系の指標の提出です。
提出していただいた資料からはいろいろな情報が手に入りました。
うまくいっている点がたくさん明らかになり、売上げが落ちたことは問題ですが、そうした現象が起きても、十分に対応できる形ができていることが判明しました。
むしろ、売上げが落ちたことこそがベストだったのだ・・という判断までできてしまいました。
もちろん、営業体制の強化すべき点なども多く明らかになりました。
意外な重点項目がなおざりにされていたのです。今は卓越した利益率をたたき出していますが、このままの体制では利益率が落ちてくることが十分予測できました。
ここで書いていることは当たり前のことです。
ウルトラCは一つもありません。
しかし、その「当たり前」の効果はとても大きなものです。
これからのトレンド変化は、当たり前の戦いが今まで以上に重要になります。
残念ながら、環境の良かったここ数年は、いろいろな幻想が流布しました。
例えば、「固定費は少ない方がいい」という財務的な常識も幻想です。一面は正しいですが、ある角度から見直すと、この「言い切り」は大間違いです。
しかし、そうした幻想も常識的に考えれば、化けの皮をはがすことは難しくはありません。
だから、もう一度、中小企業の利益構造という基本から考えていただきたいと思います。
すべての答えは、基本的な構造に中にすべてあると思います。