冬から春へと変わる季節の変り目、3月。
決算を迎える会社が最も多い月です。
現時点では決算日前ですが、既に業績も固まり、概算納税額も計算済みのはず。
また、新年度の予算編成が終了していなければならない時期でもあります。
皆さんの会社の新事業年度予算案は、どのようなものになったでしょうか?
私も、お客様の予算検討会に出席する事があります。
そのようなとき、お客様があまりにも当然の予算案を出してくると、生意気な事を口走ってしまう場合があります。
「それって、何もしないという事ですか?」
立場上、その会社が抱えている問題点は把握しています。
第三者の私でも予測し得る予算案を立てるという事は、問題点もそのまま放置するという様に捉えてしまうのです。
杓子定規の予算案を見たら崩しにかかり、あまりにも非現実的な予算案を見たら現実に引き戻します。
「来期必達売上高! 目標利益絶対確保!」
このような観点から作られる予算案は、願望を反映させた、ただの数値目標です。
会社を取り巻く全ての環境要因を反映させなければ意味がありません。
環境要因を意識すると、経営者は考え始めます。
考え始めると、問題点自体が動き始める。
後は、決断し、その決断を予算に反映させる。
そして、予算案を従業員に発表してしまえば、その決断は伝わり、経営者の退路は断たれます。
つまり、予算案を検討するという事は、その会社の問題点を浮き彫りにし、それをどう解決していくかのプロセスを検討するという事でもあります。
問題点から逃げた予算案に、将来性を感じません。
“やりたくはないのだけれども、やらなければいけない事”を、予算案の作成というプロセスを通じて、実行のタイミングに落とし込むのです。
このプロセスに関わっていると、我々も緊張感がみなぎってきます。
予算案の編成は、重大な決断を伴うことが多いため、本当に苦しい作業です。
それでも、予算案を片手に、新たな事業年度へと向かわなければなりません。
経営者にとっては、戦場に向かうのと同じ気持ちのはずです。
決戦の準備は万全ですか?
もうすぐ、夜が明けます。
例え勝てなくても、負けないで戦場から戻って来てください。
その戦場での教訓を胸に、次の戦場へ向かえばいいのですから。