最近、中国で製造している冷凍食品の問題が世間を騒がせています。
この原稿を書いている時点ではまだ調査中のため、どこに問題があったかは分かっていません。
今回は中国ですが、低コスト化を進めれば進めるほど、製造は自社から外部へと変わり、更に国内から国外へと移っていきます。
そして、流通経路も陸、海、空と複雑となるため、問題の特定には時間がかかります。特に国外となると、文化や認識の違いも大きいため、そう簡単にはいかないでしょう。
だからといって、国外がダメなわけではありません。
今後の日本は、年々国外への依存度が高くなっていきます。
国外へのアウトソーシングを大前提にしていかなければ、経済活動は成り立ちません。
更に言えば、昨年から続く国内メーカーの偽装問題を考えると、国内か国外かはそれ程重要ではないはずです。
しかし、それでも一番付加価値が高いのは、国内における自社製造、かつ、品質管理も厳重に行っている商品です。
その分コストが高くなるので、販売価格も高くなるのは当然です。
市場規模は限定されるので、どちらかと言うと、中小企業が狙いやすい市場です。
当社のお客様にも、頑なに自社製造にこだわる会社があります。
アウトソーシングに出す場合には、ものすごい時間と手間をかけて、外注先を選別します。
そのような事を行っているため、そう簡単には儲かりません。
しかし、コストや利益よりも品質を最重要視するため、その会社にとっては当然のことなのです。
また、先日お話したサービス業のお客様は、人的リソースを社内に集中させるため、アウトソーシングは極力行わないとおっしゃっていました。
短期的にはアウトソーシングの方が儲かると分かっていても、やらないのです。
その業界で行われているアウトソーシングの実態を聞くと、確かに恐ろしい。。。
収益構造的にも、同業他社とは逆に向かっているようです。
それで軌道に乗せているのですから、底力はすごいですね。
そこまでに行き着く苦労は並大抵ではなかったでしょう。
例えば、今回のように国外へ製造拠点を移し、仕入コストを下げるということは、単に浮いたコストを儲けにつなげてよいということではありません。
カットしたコストを、危機管理コストに多く振り向けるべきなのです。
要は、事業に対するコストをどこに配分するかが肝心になります。
コストカットが出来たと喜んでいると、落とし穴が待っています。
JTフーズに関しても、昨年最初に問題が発生してから公になるまで、かなりの期間放置されていたとの事。
危機管理部門が弱いとしか言いようがありません。
弱いということは、十分な体制が構築されていないのです。
つまり、必要なコストがかかっていないとも言えます。
もちろん、単純に危機管理部門にコストをかければ、危機管理能力が高いという訳ではありません。
しかし、このコスト配分は、会社の基本姿勢そのものです。
姿勢がある会社は、やはり意識が高いのです。
皆さんの会社はいかがでしょうか?
もしかしたら、収益構造にその姿勢が現れているかもしれません。
それが、お客様にとって歓迎すべきものか?
それとも、自社にとって都合が良いものなのか?
一度、検証してみる必要があるかもしれません。
それが、真の企業価値につながりますので。