最高の“棚ぼた”税制ができました

“棚ぼた”税制の名前は、『雇用促進税制』。
(以前からある制度ですが、マイナーチェンジを繰り返し、平成23年6月の改正で
今に至ります。)
最初に結論をいいます。
『人を採用すれば、一人当たり20万円の税額控除をうけること
ができます』
2人採用で40万円、4人採用で80万円、10人採用で200万円!!
残念ながら無条件ではありません・・・(当然ですが)、要件の確認に入りましょう。
まずは大雑把に確認したい方のために、大雑把な要件から。
 
【大雑把な要件】
(1) 1年間に増やす人数は、“2人以上”です。
(2) 前期末の社員数に対して、増やす割合は“10%以上”です。
(例:前期末30人、今回増やしたのが3人であれば、3人÷30人=10%でOK)
(3) 適用事業年度は、平成23年4月1日~平成26年3月31日までに開始する
事業年度です。
「おっ!? 要件に当てはまりそうだ!」
と思われた方は、さらに細かい要件の確認に移りましょう。
 
【細かな要件】
事前に断っておきますが、ここからは専門用語が飛び交います。
(1) 青色申告書を提出していること(通常は当てはまります。)
(2) その年度と、前年度に、会社都合による退職者がいないこと(つまりクビ・・・)
(3) 採用する従業員は、雇用保険の一般被保険者であること。
(4) 適用年度の給与等の支給額が、比較給与等支給額以上であること。
(専門家へ確認を。通常は当てはまります。)
(5) 事業年度開始後2月以内に、雇用促進計画を作成し、ハローワークへ
提出すること。
(そもそも施行されたのが6月ですので、平成23年4月1日から8月31日までの
間に開始する事業主の方の提出期限は、10月31日までです。)
 
以上の要件を全て満たすことで、冒頭の税額控除を受けることができます。
この制度は、その名称通り、雇用を促進させるための制度です。
国の思惑では・・・。
実際はどうでしょうか、一人当たり20万円の税額控除を受けられるからといって、
そのために人を採用する会社はありません。
(0.1%くらいの気持ちの後押しにはなるかもしれませんが・・・)
結局は“棚ぼた”税制でしかない、つまり、この制度があろうとなかろうと、知って
いようといまいと、普段通り人を採用した会社が、偶然、要件に適合すれば、
結果的に優遇を受ける制度でしかないのです。
しかしながら、あくまでも申告制度です。こういった制度にはよくある話ですが、
知らなければ、それまでです。
(テレビCMでもやってもらわなければ、なかなか周知されません。)
優秀な会社は、税制等に対し、常にアンテナを張り続け、自社に有益な情報を
キャッチします。
だからこそ、このような恩恵にあずかることができ、また、そういった姿勢があるか
らこそ優秀な会社であり続けることができるのです。
要件に当てはまるのであれば、忘れずに適用を受けましょう。