何故、疑問に思わないのか?

先日、お客様の役員様よりこんなご質問をいただきました。
お客様:「当社では、代金の回収にクレジットをご利用いただくことがあります。」
お客様:「その際、利用伝票(お客様控)をお渡しするのですが、中に、領収書を
欲しいとおっしゃる方がいらっしゃるのです。」
笹 川:「なるほど、心配性な方もいらっしゃるんでしょうからねぇ。」
お客様:「そこで、ちょっと疑問なんですが・・・」
笹 川:「はい、なんでしょう?」
お客様:「当社では、代金を直接そのお客様より受領したわけではないのに、
『領収書』を発行するのはおかしくありませんか!?印紙だってかかるし・・・」
この話を聞いて、すぐに思い出すのが、飲食店や家電屋さんでクレジットカードを
利用したときのことです。
あのときに印紙が貼ってあったでしょうか?
この事案については、国税庁より取り扱いが公表されています。
《国税庁》クレジット販売の場合の領収書
結論としては、クレジット販売の場合には、『信用取引』により商品を引き渡す
ものなので、その際に発行する領収書であってもお金の受け取りの事実が
ないので、たとえ表題が『領収書』となっていたとしても、課税文書には該当しない
こととなります。
ただし、注意点があります。
クレジットカード利用の場合であっても、その旨を『領収書』に記載しないと、
課税文書となりますので、必ず、但し書きに『クレジットご利用』とお書き
いただくことが必要です。
これを書き忘れてしまいますと、ただの『領収書』となりますので、印紙が必要と
なります。
いかがでしょう、電気屋さんでクレジットカードを使ったときの領収書には、
クレジットの利用であることがちゃんと書いてあったことを思い出しませんか?
裏話になりますが、このお客様のところでクレジットが利用されるようになったのは
今にはじまった話ではありません。
以前よりずっとクレジットを使われてきました。
それでは、何故、今回この役員さんがこのような質問を突然してきたのかというと、
そこには、社内で起こっていたある『変化』を感じたからだそうです。
その変化とは、最近、『クレジット利用のお客様に対する領収書の発行が増えた』
という事実です。
本来であれば、クレジット利用伝票(お客様控)がいっている訳ですから、一部の
お客様より領収書の発行を依頼されることはあっても、多数のお客様より一度に
依頼されることはまずありませんでした。
そこに、この役員さんは何かがおかしいと感じ取ったのです。
そして、よくよく調べて行くと、その領収書を欲しがっているのは、お客様ではなく
自社の従業員だということが分かったそうです。
実は、リフォーム工事を行う場合に、市が助成金を出していたのですが、その申請
に必要な書類の中に『領収書』があったのです。
それに対して疑問をもったその役員さんは、市の担当者に連絡したところ、
「クレジットの利用を想定していなかった。すぐに対応いたします。」との
回答をいただいたそうです。
はじめからこうすればよかった話だとは思いませんか?
私たちの会社では、部分的に見ると一見正しそうに行われていることも、全体から
みた場合にはおかしいことが行われていることが少なくありません。
ただ、その違和感を感じ取るアンテナを張って仕事に望んでいるかという姿勢の
違いです。
私は小学生のころに『なぜナゼ坊や』というあだ名を付けられたことがありました(笑)。
大人になって、一から十まで「なぜ何故?」と聞いていては仕事になりませんが、
ただ、いつも部分でおきていることの正しさに疑問を持つアンテナは忘れずに
持っていたいものです。