笹川さま
お世話になります。
以前に保険代理店から提案を受けた、がん保険の加入を検討しています。
どうでしょう?
以下、メールを転送します。
———- 転送メッセージ ———-
がん保険のご提案をさせていただきます。
下記資料をご確認ください。
解約返戻率が64歳でピークの92.8%まで上がり、実質返戻率は156.9%です。
非常に節税効果が高く、お勧めできます。
ぜひ、ご加入をご検討くださいませ。
———————————–
山田さま
いつもお世話になっております。
税理士の笹川です。
保険代理店からの資料を拝見させていただきました。
解約返戻率も高く、良い保険ですね。
3月決算でいらっしゃるので、決算対策としてご検討されているのだと考えます。
ただ、残念なことに、2月29日に国税庁から
“法人が支払う「がん保険」(終身保障タイプ)の保険料の取扱いについて(案)”
と題して、改正案が公表されました。
結論から申し上げると、がん保険の損金算入割合が100%から50%に下がり、節税効果が大幅に減少します。
いま契約しても改正後の取扱いが適用される可能性がありますので、その点は慎重にご検討ください。
また、がん保険がダメだったら、逓増定期保険、長期平準定期保険と次々にご提案を受ける可能性がございますので、節税のための保険加入時の際にご検討していただくべき事項をお伝えさせていただきます。
【その1】保険会社に支払うことになるコスト
節税に目がくらみ、意外と考慮されないのがこの点です。最近は情報が多く出回り始めたので、保険による節税と言われるものが、実は「税金の繰延べ」に過ぎないということはご存じかと考えます。
そして、節税目的といえども保険には変わりませんので、保険機能相当額や諸々の手数料を保険会社に取られてしまいます。当然、その分は節税効果を減少させますのでご注意ください。
つまり、保険会社に取られてしまう分、節税という枠組みでは最終的には得にはならないというのが節税保険の結論です。
下記は、保険代理店からの資料を加工したものです。
「差引キャッシュフロー」という箇所が、解約時の納税も考慮した節税効果です。
税金を繰延べることはできても、通常はマイナスになるとお考えください。
また、35年間継続的に黒字である場合を想定しています。赤字が継続した場合、マイナス幅は大きくなります。
参考のため、保険会社に支払うことになる手数料相当額も記載しておきましたので、併せてご確認ください。
【その2】解約した場合のお金の使途
保険年数が長くなればなるほど、解約時に戻ってくるお金が大きくなり、その使途に困ることになります。
退職金に上手く充てることができれば、税率の差を使って真の意味での節税が可能になりますが、それ以外の解約は納税を繰り延べているだけで、最終的に得することはないという点は【その1】でお伝えさせていただきました。
さらには、節税期間中は低い税率しか適用されなかったにもかかわらず、解約時には解約返戻金が多額になるため、高い税率が適用されるケースも十分あり得ます。
また、解約時にそのお金を使ってさらに節税保険に加入するという負の連鎖が起きてしまう場合もありますのでご注意ください。
【その3】キャッシュフローへの影響
長期間にわたる節税のための保険は、キャッシュフローを悪化させる可能性があります。結果として、節税のために金融機関から借入れを行い、高い利息を支払わざるを得ないケースもございます。
【その4】赤字への補てんという考え方
赤字になった場合、保険を解約して黒字にするという考え方があります。もちろん、結果として赤字を回避できるという効果がありますが、赤字はいつ発生するかコントロールできません。
仮に解約返戻率が低い時点で赤字回避のために解約することになったら、解約損失額がそのときの赤字額を超えてしまうというケースもあります。
そもそも赤字の要因が節税保険の場合もありますのでご注意ください。
以上、ご不明な点がございましたらご連絡いただければと考えます。
どうぞよろしくお願い致します。
エー・アンド・パートナーズ税理士法人
税理士 笹川 和幸
月: 2012年6月
次の過払いターゲット
過払い利息、未払い残業代・・・。
弁護士、司法書士、社会保険労務士などが入り乱れ、返還支払請求が
ブームとなったのはご存じのとおり。
よそに負けじと広告を出しまくり、これを扱う業界ではバブルに沸いていました。
書類を作って送りつけるだけで稼げたら、本業をやっているのがアホらしく
なるのは当然なのでしょうね。
そうなれば、「次の獲物は・・・」と考えるのが当然の成り行きです。
最近、我々の元にも話が舞い込んでくるのが『固定資産税』の還付請求。
請求相手は市町村。
つまり、「税金を返せー!」ということ。
皆さん、『固定資産税の納税通知書』を詳しくご確認されたことはありますか?
不動産の固定資産税は、評価額に基づき市町村が“一方的に”通知してきます。
その評価額も市町村が“一方的に”算出するため、ここに歪が生じる訳です。
そこで、不動産鑑定士等の専門家に不動産を再評価してもらい、市町村が
算出した評価額よりも低くなるようであれば是正してもらうのです。
評価額の是正が認められれば、過年度分の固定資産税が還付されるとともに、
今後の固定資産税も減額されることになります。
そして、この固定資産税の還付請求を請け負っている業者への報酬は、
ほとんどが成功報酬です。
固定資産税評価額が下がらないのであれば1円も費用が発生しません。
固定資産税の還付請求を扱う業者が徐々に増えていることを考えると、
それだけ評価額が下がる実績が出ているからでしょう。
しかも、相手が市町村となれば誰が遠慮するでしょうか(笑)
ただし、固定資産税率は1.7%(都市計画税を含む)のため、固定資産税
評価額がある程度高くないと、還付のインパクトは見込めません。
つまり、固定資産税評価額が1,000万円から900万円に下がったとしても、
税額に換算すると1万7千円。
還付額がこの程度では成功報酬で請け負う業者にとって利益がないため、
お断りされるのが常です。
逆に、設備産業ですとどうでしょうか。
ホテル、旅館、病院、オフィスビル、工場等、その評価額は1億円を超えて
きてもおかしくない。
業者が提示する実績資料を見ると、評価額の減額率が10%から50%までに
及んでいます(もちろん、結果の良い実績しか載せていないのでしょうが・・・)。
仮に3,000万円の評価額減額に成功した場合、1年あたり51万円の還付があり、
さらに5年分遡ると255万円(10年以上遡れる市町村もあるようです)の還付。
将来分も減額されるおまけ付きです。
固定資産税評価額は相続税評価額にも影響を与えるため、評価額の高い
建物を個人所有されている方は特に要チェックです。
仮に成功報酬型の業者に相手にされない規模であっても、不動産鑑定士に
有料でお願いするのも方法の一つではないでしょうか。
不動産を所有する限り将来に渡って課税されるわけですから、初期費用が
還付額を上回ったとしても、長期的には有利になる可能性が高くなります。
ちなみに、1月は不動産以外(什器備品類)の固定資産税の書類(償却資産
申告書)の提出時期でした。
これは不動産と異なり、企業からの申告制です。
さらに言えば、償却資産申告書は税理士に依頼されている企業がほとんどの
ため、場合によっては税理士の“一方的な”申告により固定資産税を納めて
いらっしゃるかもしれません。
既に存在しない資産が残っていたり、耐用年数が過大に適用されていないか
どうかの確認も必要かもしれませんね。
給料のようにご自身で把握できるものは別として、今回取り上げた固定資産税や
法人税等、専門家が計算しているからといって、それが全て正しいということはありません。
セカンドオピニオンのご相談を受けていると、専門家と言われる方々の曖昧な
判断に強く違和感を感じます。
皆さんも、専門家が計算した曖昧な判断に基づく曖昧な税金を支払わせられない
ように気を付けてください。
1年で簡単に11万円を手にする方法
ウォーレン・バフェットは言いました。
「オリンピック選手の子孫から、次のオリンピック選手を選抜するようなものだ」
これはバフェットが、アメリカの審議会において、相続税に関する意見を
求められた際に発言したものであり、その意図は『現行の相続税は緩すぎるため、
金持ちの子孫は金持ちであり続け、貧乏人の子孫は貧乏人であり続ける。
相続税の課税を強化し、もっと富の再分配を行うべきだ。』というものです。
相続税に関する議論は様々で、バフェットやビル・ゲイツのように
「もっと相続税を強化すべき」という者もいれば、その逆を唱える者もいます。
(どうやら、1代で富を築いた人ほど、相続税に賛成する傾向があるようで・・・。)
日本においても、同じような議論は昔から繰り返されているわけですが、
どうやら政府・与党は前者の道を選択したようです・・・。
1月6日に政府・与党において決定された『社会保障と税の一体改革』の素案に
おいて、相続税について非常に大きな改正案が盛り込まれました。
相続税の基礎控除額を、現行の『5,000万円+1,000万円×相続人の数』から、
『3,000万円+600万円×相続人の数』へ引き下げるというのです。
しっくりこない方のために、相続税について超簡単におさらいをいたしましょう。
相続税とは、相続により財産をもらった人が支払う税金です。
ただし、全ての人が全ての財産に対して支払うわけではなく、もらった財産から、
基礎控除額を引いた残額に対して、相続税は課されます。
基礎控除額が小さくなるということは、つまり、それだけ相続税の課税が増える
ということです。
『社会保障と税の一体改革』というと、どうしても“消費税の増税論”が眩し過ぎて、
その他の改正案が影になっていますが、これは非常に大きな改正です。
税率の引き上げ等について対策を講じるのは難しいですが、相続税の課税強化
についてはあらかじめ手を打つことが可能です。
それは、非常に単純で、財産をあげる人(=亡くなってしまう人)の持っている財産
を減らすことです。
財産を減らす、つまり、消費するか、移動するか、のいずれかになるわけですが、
消費してしまっては、(国の思惑通り、経済の活性化にこそ繋がりますが)一家の
財を守ることにはなりません。
つまり、考えるべきは財産の移動であり、“贈与税の非課税枠”を使った方法も
その中の一つです。
ご存知の通り、年間110万円以下の贈与については、贈与税が1円も発生しません。
相続税が確実に発生する方であれば、年間110万円のキャッシュを贈与するだけで、
(相続税の最低税率10%で考えても)11万円の節税になります。
これが、税率30%の方であれば33万円、50%の方であれば55万円の節税です。
これを10年繰り返せば、20年繰り返せば・・・! と皮算用をしてしまいがちですが、
そのような毎年の贈与には注意が必要です。
「最初からまとまった金額を贈与するつもりだったのに、一度に移すと贈与税が
発生してしまうから、それを回避するために分割で贈与しただけでしょ!?」
と税務署に指摘されては元も子もなくなってしまいます。
(そのように認定されると、定期金受給権の贈与を一度に受けたものとみなされ、
多額の贈与税が発生してしまいます。)
そう認定されないためにも、一般的には次のような方法がとられます。
■贈与の日付、金額にはバラつきを持たせる
■毎年必ず贈与契約書を作成する
■時には、贈与税を納めるくらいの金額を贈与する
しかし、結局は事実認定の問題であるため、形式的に何を備えようと、
『最初から計画的な贈与』と判断されればそれまでです。
最終的には、“たまたま気が向いたから贈与した(してもらった)”という強い意志(?)こそが、何よりも重要となります。
あくまでも“きまぐれ”に行きましょう。
今の日本で、建物を建てようとした男の頭の中。そして・・
ちょっとした縁で土地を購入することになりました。
今の日本で、土地を買うというのは、値下がりリスクを考慮しなくてはいけません。
しかし、今、私たち日本人が個人で土地を所有すると、売却した時の損失は
他の所得から引くことができません。
つまり、値下がりリスクが考えられる場合、個人で土地を買うことはあり得ません。
ですからこの国で、不動産取引が盛り上がらない理由は、今の税制にもあるはず
です。
そこで、私は考えました。
「会社で購入しよう」
本当は、個人で購入し、その上に会社所有の建物を建てたいのですが、
個人では、値下がりの場合の損失について税効果がありませんから仕方が
ありません。
そこで、会社で購入し、もし、土地が値下がりしたら、底値と判断したところで、
私個人が買う。そうすると、値下がり額を会社の経費にすることができます。
不動産取得税などは、無駄になりますが、現在の状況ではこれしかないでしょう。
次に、事務所用の建物です。
個人で建てようが、会社で建てようが、現在の税制では、建物の減価償却は
定額法しか認められていません。
これは、とんでもないことですが、法律ですから仕方がありません。
しかし、今、日本で、設備投資が盛り上がらないのは、この建物に対する税制も
原因の一つでしょう。
そもそも、日本経済の乗数効果が低いままなのも、こうした税制が要因の一つ
になり、スパイラルな抑止をしているように思います。
そこで、私は考えました。
「限りなく安価な建物を建てよう」
そして、もう一つ考えました。
「固定資産税を限りなく安くなるように建てよう」
私は、過去に、固定資産税(もちろん、不動産取得税もです)を限りなく安くする
建築方法で自宅を建てたことがあります。
このアイデアを基本にして、さらに固定資産税が安くなることを考えようとした
わけです。
固定資産税は、毎年、市町村から賦課される税金ですから、累計すればバカに
なりません。それを安く押さえることで、税制の不利を補おうとしたわけです。
しかし、縁があって土地を買うことになったので、こういうことを考えましたが、
そもそも今の日本で土地建物を買うなどということはあり得ないことでしょう。
私のような人間にはそうとしか考えられません。
ですから、こうした思考をすることさえ、バカバカしい・・・・・。それほどに、今、
私たちが土地建物を購入できないような環境になっているのです。
・・・・と、こうしたことばかり考えていたせいか、土地購入の話はなくなりました。
あるお医者様が、考えられない金額で購入を決めてくれたようなのです。
世の中とは、こうして価値観の違う者が同時に存在するので、めでたくなって
いるのだなーと思いつつ、私はほっと胸をなで下ろしたのでした。
さて、これから日本は増税の雨あられになります。
給与所得控除に上限額が設定される・・・
高額所得者の最高税率が5%上がる・・・
消費税の増税・・・・・
・・・・・・・
さらに、日本経済の乗数効果が落ちていく施策が続きます。
政治は、それを選んだのですから仕方がありませんね。
私たちは、経済人として最適な行動を繰り返すだけです。
2012年税制改正、隠し玉はあるのか?
今年も、政府から来年度の税制を決める、『税制改正大綱』が公表されました。
今年の税制改正を一言で言うと、消費税等の増税をにらみ、野党の顔色を
うかがった税制改正といった感じです。
しかし、今年もひっそりと小粒ながら隠し玉を忍び込ませてありました。
表向きの内容は、昨年見送られた給与所得控除の見直しと、役員退職金の
課税方式の見直しが再び盛り込まれたことと、相続税の基礎控除引下げと
税率改定は見送りとなったといったところです。
給与所得控除の見直しと、役員退職金の課税方式の見直しについては、昨年も
話題にしたことなのであえて説明はいたしません。
これだけでも十分すぎる改正ですが、一度見せられていると慣れてしまうという
のは恐ろしいことです。
そんな中、私が注目しているのが『国外財産調書制度』です。
これは、その年の12月31日において5千万円を超える国外財産を有する居住者は、
その財産の内容を記載した調書を税務署長に提出しなければならないというもの
です。
この制度には不提出・虚偽記載に対する1年以下の懲役又は50 万円以下の
罰金という罰則が設けられる予定です。
タックス・ヘイヴンを利用した武富士事件以来、企業と個人の海外財産に対する
課税強化の動きが強まっており、この制度も、富裕層に対する課税強化の布石と
いったところでしょう。
また、同時に非居住者に対する監視も強化されています。
それを裏付ける情報が国税庁から公表されています。
国税庁が公表した、平成22年度の租税条約等に基づく情報交換事績を見ると、
日本の国税庁が外国税務当局との情報交換を行った件数が2倍に増加して
います。
さらに、地域別に見ると、アジア・大洋州の国・地域向けの情報要請が全体の
約7割を占めていました。
国税当局による海外財産の課税が強化される一方で、国際課税について
納税者の認識不足により思わぬ課税が起こるケースもあります。
その一例が『183日ルール』というものです。
これは、外国に1年の半分(183日)以上滞在することによって非居住者となり、
日本の税金が課税されなくなるというものです。
しかし、これは『都市伝説』であり、認識誤りです。
この点については国税庁が情報を公開しています。
(以下、抜粋)
滞在日数のみによって判断するものでないことから、外国に1年の半分(183日)以上
滞在している場合であっても、わが国の居住者となる場合があります。
この点について多くの誤解があるようです。
国税当局の監視の目が強まっています。
安易な節税手法を取らないよう十分気をつけてください。
税制改正のくわしい内容と対策については、会員と税務顧問の皆さまには
エーアンドinfoにてお知らせいたします。
とある節税商品を考察する
その商品は広義の保険商品であり、平成23年10月に商品改良がされました。
掛け金は全額損金になり、最高月額20万円、年額で240万円まで払い込むことができます。一年分を前納することもできるため、決算対策としても有効です。
ただし、一事業者につき限度額は800万円までであるため、トータル掛け金が800万円に達した場合には、それ以上積み増しすることができません。
一定期間経過後に解約をすることで、相応の解約返戻金を受け取ることができ、その解約返戻率の推移は以下の通りとなります。
特筆すべきは、(たった)40ヶ月以上掛けることで解約返礼率が100%に達するという、立ち上がりの速さです。(既存の保険商品ではなかなかありません。)
払い込み時に全額損金になっていたわけですから、解約返戻金は全て収入となり、その儲けに対して税金を支払わなければなりません。
取引全体でみれば税金の納付額は同じになる、つまりは“課税の繰り延べ”であり、図示すると以下のようになります。
「なんだ、単なる課税の繰り延べか・・・」と思わないでください。
本当の節税効果をこれからご説明します。
この商品は、先ほども説明しましたが、40ヶ月掛けることで返礼率が100%に達し、その後はいつ解約しても100%の返礼率をキープします。
つまり、最適なタイミングを見計らって解約することができるため、よくある節税保険のように、“解約のピークを過ぎたら大損してしまう”ということはありません。
この性質と、法人税の税率構造をうまく利用することで、単なる課税の繰り延べではない、純粋な節税効果を得ることができます。
現行の法人税は利益(所得)が800万円までは18%の軽減税率であり、800万円を超えると30%の税率となっています。
利益が800万円以上出ている年度に、この商品の掛け金を払うことで30%の節税効果を享受し、かたや、大規模な修繕や、退職慰労金の支出などで利益があまり出ない、もしくは赤字の年度に解約をぶつけることで、18%の課税で済ませることができます。
つまり、入口は30%の節税、出口は18%の課税とすることで、差引12%の税率差額分のキャッシュを蓄えることができるのです。(最大96万円)
以上のように、うまく活用することで、約100万円の節税効果を図ることができます。
決算時には是非ともご検討ください。
PS:
大事な保険機能の説明を忘れていました・・・。一応保険商品の一種ですから。
『取引先が倒産等にあった場合、連鎖倒産を防ぐために、貸付を受けることができる』
PS2:
度々申し訳ありません・・・。うっかり、一番大事なことを伝え忘れていました(汗)。
商品名と、販売元をご紹介いたします。
『商品名:経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)』
『販売元:日本国(JAPAN)』
大節税時代
が、到来するかもしれません。
ご存じのように、「節税」とは税率の差を活かして、納める税金を“最終的に”
少なくする手法です。
税率の差は所得区分にあるので、例えば“法人税から所得税”のように、税率が
高い所得から税率が低い所得へ移転することによって、税金が少なくなります。
もちろん、会社や個人によって状況が異なるので、節税額は個体差があります。
また、法人でよく使われる生命保険のように、法人税という同一所得区分内で
行われるのは“なんちゃって節税”であり、一時的に納税を繰り延べているだけ。
では、大節税時代が到来するとはどういうことでしょう?
それは、法人税という同一所得区分内で税率が下がる事がほぼ確定している
からです!
平成23年度の税制改正において、法人税実効税率が5%下がる予定でした。
法人税が下がれば、無理に節税する必要がないため、“なんちゃって節税商品”
は販売不振に陥ってもおかしくない・・・。
しかし、現在、法人税実効税率5%の引き下げとセットで、震災復興のため3年間
の臨時増税が検討されています。
これは、恒久的な減税と臨時的な増税を組み合わせたものです。
つまり、将来的には法人税は下がるけれども、当面は増税される・・・。
勘の良い方はお気付きだと思いますが、ここで“なんちゃって節税商品”が大活躍!
税率が高いうちに“なんちゃって節税商品”で納税を繰り延べ、臨時増税が終了
したら“なんちゃって節税商品”を解約。
そうすることにより、現在予定されている法人実効税率5%の差を、法人税という
同一所得区分で節税出来るのです。
臨時増税があるので、期間は更に延びました。
なんと、今ならもれなく“なんちゃって”が取れてしまう!
そして、これを売り文句に“なんちゃって節税商品”のベンダーは大攻勢を仕掛けて
くるかもしれません。
もちろん、臨時増税が終了すれば、“なんちゃって節税商品”は解約するのが自然
な流れであり、その結果、解約年度においてまとめて税金を支払う事になります。
ここで気を付けなければならないのが、経営者の心理・・・。
「そんなにたくさんの税金は払いたくない!」
納税時には税率が下がっているので節税効果は受けていますが、数年間繰り延べ
ていた分をまとめて払う事になるので、税額としては大きくなります。
ここで、ベンダーは囁きます。
「それなら、解約資金を使ってこの商品に・・・」
あるいは、
「解約は止めて、もう何年か様子をみましょうか? 例えば赤字になったときに解約
すれば、納税額が少なくなったり、赤字の補てんが出来て助かりますよ・・・」
結局はキリがない!
と、この大節税時代の流れを、今のうちにお伝えしておいた方が良いかなーと考え、
このメールマガジンの内容となりました。
売るのが上手なベンダーは、最近このような売り文句を武器に営業を仕掛け始めて
いますのでご注意を(笑)
タックス・プランニングなんて響きの良い言葉を使うベンダーもいますが、言葉に踊ら
されず、出来る範囲内で節税を行いましょう。
中には、節税するために借入れを行ってしまう中小企業もありますので・・・。
結果としてリターンが上回っても、こういうのって何か違いますよね。
法人成りブーム再来か!?
長らく滞っていた平成23年度税制改正ですが、民主、自公3党で合意の
とれた部分だけを抜き出し法案化したことでようやく可決にこぎつけました。
実は、今回成立した項目の中には『消費税の免税事業者要件の見直し』が
含まれていることから、これを機に個人事業者が法人となる、
『法人成り』の検討を始めた事業者も少なくありません。
私も、この2,3ヶ月の間に数人の方々からご相談を受けました。
平成23年度中に法人を設立することにより、現在、新設法人に認め
られている、設立から2年間の消費税の『免税』を受けることが狙いです。
これについては以前にお話していますのでそちらをご覧ください。
その法人成りの質問をいただく際に、よくいただく質問が
『社会保険に加入するとどうなるのか?』というものです。
社会保険に加入した場合、従業員と会社で保険料を折半することと
なっていることから、その経費増が気になるというものです。
個人事業者については、適用業種であって常時5名以上の従業員を
使用する場合には社会保険の加入が強制となっています。
従業員が5名未満の場合や、農林業、美容業、飲食店などの一部の
業種については、社会保険の加入が『任意』となっており、負担増となる
ことから加入するケースは少ないと思われます。
しかし、法人の場合には、従業員数に関係なく社会保険への加入が『強制』
されており、たとえ一人オーナー会社であっても、社会保険への加入が強制
されることとなります。
その他にも社会保険への加入が注目されている理由があります。
それは、ハローワークが行っている『求人』の取り扱いです。
多くの中小企業はハローワークを利用し求人を行っていますが、
近年、社会保険に加入していない事業所について、ハローワークでの
求人を受け付けない動きが強まってきています。
社会保険に加入していない会社は求人を出しませんということです。
この件に関して随分前に厚生労働省から報道発表されています。
『ハローワークにおける厚生年金への加入が明示されていない求人への
社会保険事務所と連携した対応等について』
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/04/h0419-5.html
これにより、社会保険加入への関心が高まっています。
それでは、社会保険に加入した場合に会社が社員一人当たりに支払う
保険料がいくらになるかご存知でしょうか?
会社が支払うこととなる保険料の計算は次のとおりです。
(注)
(年収×25.538%)÷2
(注)
健康保険料(東京) 9.48 %
厚生年金保険料 16.058%
以下のケースで負担することとなる保険料を計算してみます。
≪設例≫
年収平均500万 従業員数 10名
(500万円×10名25.538%)÷2=6,384,500円
いかがでしょう、社会保険に加入した年から、これだけの利益が吹っ飛ぶ
計算になります。
利益率が50%の会社なら、売上高にして約1280万円に相当する利益です。
それだけではありません。
厚生年金の保険料はこれから毎年アップすることが
すでに決まっています。
それ以外にも『昇給』による社会保険料の増加も考えなければいけません。
たとえ会社は成長しなくても、ある程度のレベルの社員を雇っていたい場合には、
一定の昇給は、その社員の生活最低保障として必ず必要になってきます。
その場合、社会保険負担も昇給に比例して必ず増加していきます。
みなさんは、この負担を無視できるでしょうか?
税務上の有利不利は、経営上における重要な判断ポイントとなります。
しかし、それだけを基準として法人成りを考えることは明らかに間違っています。
目先の利益にとらわれ、将来にわたる重要な判断を誤らないように
していただきたいと思います。
そこで、今回、社会保険に加入する場合のメリット・デメリットと
法人成り・経営上の判断ポイントについての解説音声を作成いたしました。
詳しくは、こちらをご覧ください。
この音声に収録されている内容は、その辺の書籍には書いていない
『経営者のための社会保険の知識』です。
この音声をお聞きいただければ、経営者に必要な社会保険の知識は十分
に修得いただける内容となっています。
社会保険の加入時の参考にしていただければ幸いです。
詳しくは、こちらをご覧ください。
路線変更
ビックリするくらいニコリともしませんでした。
早朝からビラ配りを行っていたその政治家は・・・。
それは新首相に就任した野田さんのこと。
私が野田首相の選挙区地域に住んでいたため、朝の通勤時に駅前でよく見かけました。
鳩山さん、管さんと続いた後の首相としては、逆にあの落ち着きすぎる雰囲気が功を奏するかもしれません。
そして、野田首相の誕生で、増税路線が明確になりました。
この増税路線が今後の日本にどのような影響を与えるのか?
今はただ見守るしかありません。
ところで、首相交代の度に行われる路線変更。
企業経営とも共通していると思いませんか?
これを企業に例えると、社長交代による路線変更です。
特に中小企業の社長交代では、必ずと言ってよいほど路線変更が行われます。
まるで、前社長(大抵は親ですが)の影響を振り払うかのように・・・。
結果をいち早く出したいがために、急激な改革を推し進めようとするケースが多いですが、中々上手くいかないのが現実のところ。
当然、単なる前社長の路線否定では上手くいきません。
あるいは、会長にとどまっている前社長に遠慮して、中途半端な改革で挫折する例も少なくない・・・。
例えば、管さんのように脱原発の方向性を“バチンッ!”と決める事自体はそれほど難しくはありません。
問題は、実際に線路を敷く作業です。
仮に方向性が理想的であったとしても、実際に線路を敷く閣僚や官僚が付いていけなければ、画にかいた餅になってしまいます。
そして、行き詰った状態で途中交代・・・。
しかし、中小企業の社長に途中交代は許されません。
方向性を決め、線路も敷き、さらに結果の責任も負わなければならないのです。
方向性(=戦略)を決めていない中小企業は稀ですが、線路(=戦術)を上手く敷けている中小企業は同じくらい稀です。
方向性が正しいか否かは別問題で、進んでから間違いと気付いたら修正すればよいだけの話。
政治を見ていてもお分かりのように、企業経営も結局は実行レベルで先に進まず破綻しています。
この点、線路敷きを上手く進めている中小企業を見てみると、社長自ら先頭に立って幹部やスタッフに十分な説明を行い、信頼出来る外部の専門家からの協力も得ています。
社長自ら何から何まで行う必要はありませんが、その段取りは必要です。
しかも、企業の場合は自社の路線変更のみならず、国の路線変更にまで左右されます。
ここで話は戻りますが、今回の増税路線。
増税で一番問題となるのは、税金が増える事自体ではなく、資金繰りに大きな影響を与える事です。
税金にばかり焦点を当てていると、気付かない間に資金繰りが悪化しています。
増税後には生命保険を代表とした節税商品がブームを迎えるかもしれませんが、色んなところで節税をしているがために、回り回って借入金が増え、そのために多額の利息と信用保証料を支払っているなんて企業は腐るほどあるのです。
役員報酬の決め方一つにしても、再検討を何度繰り返さなければならない事か。
増税路線となれば税理士の判断による影響も少なくありません。
新規で契約するお客様の前の税理士の処理を見ると、ときどき怖くなる時があります。
税理士の判断一つで企業が破綻しかねないと・・・。
時の首相の一声で経営に大きな影響が出てしまうのは残念ですが、これが現実です。
改めて自社の方向性を見つめ直す良い機会かもしれませんね。
戦略なくして変化はあり得ないのですから。
最高の“棚ぼた”税制ができました
“棚ぼた”税制の名前は、『雇用促進税制』。
(以前からある制度ですが、マイナーチェンジを繰り返し、平成23年6月の改正で
今に至ります。)
最初に結論をいいます。
『人を採用すれば、一人当たり20万円の税額控除をうけること
ができます』
2人採用で40万円、4人採用で80万円、10人採用で200万円!!
残念ながら無条件ではありません・・・(当然ですが)、要件の確認に入りましょう。
まずは大雑把に確認したい方のために、大雑把な要件から。
【大雑把な要件】
(1) 1年間に増やす人数は、“2人以上”です。
(2) 前期末の社員数に対して、増やす割合は“10%以上”です。
(例:前期末30人、今回増やしたのが3人であれば、3人÷30人=10%でOK)
(3) 適用事業年度は、平成23年4月1日~平成26年3月31日までに開始する
事業年度です。
「おっ!? 要件に当てはまりそうだ!」
と思われた方は、さらに細かい要件の確認に移りましょう。
【細かな要件】
事前に断っておきますが、ここからは専門用語が飛び交います。
(1) 青色申告書を提出していること(通常は当てはまります。)
(2) その年度と、前年度に、会社都合による退職者がいないこと(つまりクビ・・・)
(3) 採用する従業員は、雇用保険の一般被保険者であること。
(4) 適用年度の給与等の支給額が、比較給与等支給額以上であること。
(専門家へ確認を。通常は当てはまります。)
(5) 事業年度開始後2月以内に、雇用促進計画を作成し、ハローワークへ
提出すること。
(そもそも施行されたのが6月ですので、平成23年4月1日から8月31日までの
間に開始する事業主の方の提出期限は、10月31日までです。)
以上の要件を全て満たすことで、冒頭の税額控除を受けることができます。
この制度は、その名称通り、雇用を促進させるための制度です。
国の思惑では・・・。
実際はどうでしょうか、一人当たり20万円の税額控除を受けられるからといって、
そのために人を採用する会社はありません。
(0.1%くらいの気持ちの後押しにはなるかもしれませんが・・・)
結局は“棚ぼた”税制でしかない、つまり、この制度があろうとなかろうと、知って
いようといまいと、普段通り人を採用した会社が、偶然、要件に適合すれば、
結果的に優遇を受ける制度でしかないのです。
しかしながら、あくまでも申告制度です。こういった制度にはよくある話ですが、
知らなければ、それまでです。
(テレビCMでもやってもらわなければ、なかなか周知されません。)
優秀な会社は、税制等に対し、常にアンテナを張り続け、自社に有益な情報を
キャッチします。
だからこそ、このような恩恵にあずかることができ、また、そういった姿勢があるか
らこそ優秀な会社であり続けることができるのです。
要件に当てはまるのであれば、忘れずに適用を受けましょう。