『見えない資産』みなさんの会社にはどれくらいありますか?
損失隠し問題で世間を騒がせ、第三者委員会にガバナンス(企業統治)不在を
指摘されたオリンパスですが、M&A市場では高い評価を受けているようです。
主力事業である内視鏡の生産拠点は原発事故の不安を抱える福島県に集中して
おり、かつ今回の損失隠し問題発覚。
この逆境下において、何故、M&A市場でソニー・富士フィルム・テルモを初め
国内外の巨大企業が目の色を変えてオリンパスを手に入れたいと考えたの
でしょうか。
それは貸借対照表に決して載ることのない、オリンパスの『見えない資産』を
手に入れたいからです。
『見えない資産』とは人財・技術・お客様・組織力・ブランドなど、従来の会計上の
ルールでは反映されない、けれども企業の姿をより正確に知るためには欠かす
ことのできない重要な企業の資産です。
オリンパスの『見えない資産』の正体は内視鏡を売る仕組みです。
簡単に言ってしまえば、人脈や、内視鏡を扱う医師の細かい要望に応える
サービス力です。
医師達は製品そのものはもとより、内視鏡の扱い方を教えるトレーニング施設を
拠点に持ち、故障や微調整に細かく対応するオリンパスのファンになっている
のです。
オリンパスのトレーニング施設でトレーニングを受けた医師が、他社製の内視鏡
に乗り換える例は少ないといいます。
このことは、製品を生かす仕組みやサービスが、製品そのものの価値を何倍
にも引き上げてくれることを、私達に教えてくれます。
現在、中小企業の決算書のほとんどが税法の基準に従って作成されたものです。
その結果、既に実在していなかったり、全く価値のないものが『資産』として
存在しているケースが多く見受けられます。
一方で人財や仕組みといった、本来、企業の『資産』として評価されるべきものが、
決算書に載ることはありません。
しかし、こうした『見えない資産』である人財・技術・仕組・お客様・組織力・ブランド
こそが企業価値を高めていくことは間違いありません。
貸借対照表に載っている『見える資産』の中で、最も重要なのはキャッシュです。
キャッシュ以外の資産は資産でないと言っても過言ではありません。
『見えない資産』と『キャッシュ』
この2つを十分に内部留保していくことができたならば、みなさんの会社が
生き残っていく、一つの大きな要因となることでしょう。